ウェンディ、ゼンダに立つ 『伝説のオウガバトル』攻略日誌 その1

 

 本稿の概要に関しては、こちらをご覧ください。

 では、本文をどうぞ。

 

第1部 シャローム蜂起編

ステージ1 剣と杖と志

 一昔前、この大陸には五つの王国が存在した。

 ロシュフォル教の受容によって緩やかな連帯が保たれた五王国の下、大陸は安定した繁栄を謳歌していた。

 だが、うわべだけの平和は脆くも崩れ去る。

 今より13年前、大陸北西部に位置する軍事国家ハイランドと他四王国の間で、大陸全土を巻き込んだ全面戦争が勃発。世に言うゼテギネア統一戦争である。

 その結果、四王国を征服したハイランド女王エンドラは、自らを皇帝として神聖ゼテギネア帝国を建国。大陸全土を統べるに至った。

 軍事力によって戦争に勝利したエンドラは、以後も軍国主義を推進。膨らむ軍事費を増税で賄い、民衆の反発を抑え込むため、さらに軍備を拡張。力を唯一絶対の掟とする、暗黒の教えが時代を覆う。

 一方で、帝国の支配下にあって、そんな世を憂う人間も確かに存在した。

 こと、ハイランドの対極、温暖な大陸の南東域を領有し、ロシュフォル教の帰依も篤かったゼノビア王国の出自を自負する者達は、国家を失って尚、大陸の東端に潜み、帝国支配の打倒を悲願に掲げ、臥薪嘗胆の時を重ねている。

 

 今、ヴォルザーク島に降り立った、可憐な乙女もその憂国の徒の一人である。

 彼女、名はウェンディ。大陸の東端であるヴォルザークの、更に東に進んだ外海に浮かぶ離れ小島、サージェム島で、彼女の家は代々巫女を務めてきた。

 人口1000人弱、取るに足りない故、歴史の趨勢からも見放された離島。大陸の争乱とは無縁に思われたこの島においても、帝国の建国以来、事態は刻々と悪くなっていた。

 まず起こったのは目に見える変化、海賊の横行だった。ゼノビア王国滅亡から数年以内に、サージェム島と大陸との交易路は完全に断たれた。

 島には自活できる経済圏があり、生活が頓挫することはなかったが、次の異変はより深刻だった。即ち、神霊の希薄化である。

 他に行き場の無い小島において、生活圏に対する加護は不可欠である。しかし、ゼテギネアが神聖帝国を名乗るようになって、神霊の加護はみるみる弱体化していき、それはまだ見習いだったウェンディにも感じ取れるほどだった。

 神霊の加護が得られなくなっても、祭祀は滞りなく続けられた。否、滞りなく続けるため、ウェンディの母は確実に消耗していった。床に臥しがちになって数年、母は先月息を引き取った。

 ここに至って、ウェンディは決意したのだ。このまま擂り潰されるくらいならば、大陸に渡り一矢でも報いてやろう。神の教えを暗黒に塗り潰す帝国は、倒さねばならぬのだと。

 母の葬儀を終え、出立の仕度を調えたウェンディの元へ、フクロウが一通の文を届けた。

「ウェンディ殿 真に世を憂うならば、ヴォルザーク島へ来られたし ウォーレン・ムーン」

 信頼できるとは思わなかった。だが、世直しをしようにも、ウェンディには行く当てなどなかった。代々家に仕えてきた従者を連れ、ウェンディはヴォルザーク島へ発った。帝国の手先なら、その場で張り倒してしまえという意気だった。

 神官の修行を積んだウェンディが風をはらませれば、海賊の船などわけなく振り切れる。

 そうして、ウェンディはヴォルザーク島に降り立った。

 

「ウォーレンという方は、何処に居られますでしょうか?」

 都市を行く男に尋ねてみると、男はゼブラでも見たような顔でまじまじとウェンディの顔を見つめた後、

「ほれ」

 と、島の西岸に聳える荘厳な城を指差した。

 自分の見立てが浅薄だったことを少し悔いたが、ここまで来たら引き返すなんて選択肢はない。ウェンディは、ヴォルザークの城へ向かった。

 城へ着き、中へ入ろうとすると門番に止められた。

「ウォーレン殿が言うには、都市へ行き、帝国と戦う証を立てられよとのことだ」

 自分で呼びつけておきながら、城内へ招きもしないとは無礼な奴だと思ったが、どうも簡単に会える身分の相手ではないということもわかったので、ウェンディはゴーレムのように言われるまま、先程訪れた都市、ダスカニアを再訪した。

 とはいえ、帝国と戦う証とは一体。

 都市の中心部へ向かうと、ひときわ大きな商館があったので入ってみる。

「帝国へ供出する援助金はバカにならん。あんな奴等を手助けする義理はないのに」

とぼやく男。ウェンディは話しかけた。

「帝国と戦う証を立てたいんだけど」

 その言葉を聞いた主人の顔色が変わった。

「ウォーレン殿から承っております」

 主人はウェンディを奥へ案内する。

「各都市には、守護霊を祀った像があります。ウェンディ殿が指導者に相応しいお方なら、守護霊が応えてくれるはずです」

 見たことのない像、ウェンディは手を翳した。眩い光とともに、ウェンディの手にカードが握られている。

「守護霊に認められたようですね。西の教会へも行ってみるとよいでしょう」

 ウェンディはダスカニアを後にし、教会を訪れる。

「聖なる父を意識することで、いつでも冷静な判断を下すことができるでしょう」

 説法をしていた司祭が、ウェンディの姿を認める。

「貴殿ならば、守護神像の加護が与えられるはずです」

 ウェンディが手を翳すと、ダスカニアの時と同様眩い光がカードをもたらした。

 これが、帝国と戦う証ということでいいのだろうか。ウェンディは城へ戻る。

 

 門番はまだ通してくれない。

「ウォーレン殿は、情報を制す者が戦を制すと言われていた」

 ダスカニアで情報を集めてみよう。

「守護霊の加護は、戦いの中ウェンディ殿を窮地から救い出すはずです。しかし、15枚以上所有すると、加護が打ち消されてしまうのでご注意を」

 司祭は何か知っているだろうか。

「都市や教会の有す守護聖霊は、貴殿方の傷を癒してくれるはずです」

 戦闘指南も受けた。ウォーレンはどうやら、祭祀しか知らなかった無謀な私に、戦士の心得を学ばせようとしていたようだ。これで会ってもらえるだろうか。

 門番は告げた。

「北東に隠された城塞がある。ヴォルザークの拠点全てが解放されれば、ウォーレン殿はお会いになるだろう」

 北東の城塞ゼルテニアは確かにあった。

「帝国のヴォルザーク侵攻が始まった時、最後の拠点とするため、この地を隠してきました。しかし、もう必要ありません。さあ、ゼルテニアを解放してください」

 ヴォルザークの拠点は全て解放された。

「ウォーレン殿は、一体どういうお方なのです?」

 ウェンディは、ゼルテニア城主に尋ねた。

「ウォーレン殿は、ゼノビア王国では名の知れた占星術師でした。グラン王の覚えもめでたく、主の居ないまま放置されていたヴォルザーク城を賜られたのです。大陸から高名な魔術師が領主の城に入られたということで、我等はお願いして、ウォーレン殿にヴォルザークの盟主になって頂きました」

 少し思いを馳せるようにして、男は続けた。

「とは言え、ウォーレン殿御自身は、俗世間から離れて研究に勤しむべく、わざわざこの島に来られたようです。滅多に城下にはお出になられませんでしたが、平和なこの島にはそれで良かったのです。しかし、ウォーレン殿がいらっしゃって五年もしない内に、国王陛下があのようなことに…」

 大陸全土に戦火をもたらしたゼテギネア統一戦争は、ゼノビア王家の暗殺で口火が切られたという話がある。

「ウォーレン殿は、世を憚るあまり王国の悲劇すら見通せなかった自分を、大層悔やんでおられたようです。以後、占星術師には不要な杖をお持ちになり、王国戦士団の生き残りを人知れず呼び集めておられたようで」

 ウォーレンという男が、少しわかった気がした。少なくとも、信頼に足る人物には相違ないことだろう。入城が許されたら、戦士団の末席に自分も入れてもらうと、ウェンディは考えていた。

 

 ゼルテニアからウォーレンの城へ戻る道中、ウェンディは数人の男達と道連れになった。

 この道を辿るということは、彼等も戦士団の生き残りということだろうか。

 わずか数人ながら、一行には「隊」と呼ぶに相応しい秩序立った雰囲気がある。とりわけ中心にいる壮年の偉丈夫は、いかにも戦士といった凄味を感じる。

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「貴殿等も、ウォーレン殿に呼ばれた口か?」

 観察していると、向こうから声を掛けられた。

「そういう貴殿方も?」

「しかし、雑兵ばかり集めたとて、強大な帝国に勝てるとは思えんがな。見たところ、その方等は戦士ではないようだが」

 わかりやすく侮蔑を匂わせた口ぶりに、ウェンディは思わず言い返した。

「力ではなく、憂国の志をこそ恃みに戦うものでは? たとえ戦士の出でなかろうが、世の安寧のため命を懸ける覚悟は、王国騎士にも及ばんでか!」

 最後は怒気を孕まん程の言い様に、自分でも少し増長が過ぎたと恥じかけたが、

「ほーう」

 尚も不敵な態度の男が、歩みを止めた。

「ならもし俺達が帝国兵だったとして、その方等はここで命を懸けることができるか?」

 言い終わるや否や、傍らの男達が一斉に剣を抜いた。緊張が耳を打つ。背筋一体に、冷や汗が滲み出る。

 自分達を取り囲む男達はどう見ても手練れだ。ここで戦えば間違いなく死。命乞いすれば見逃してもらえるだろうか。

 心の内の聖なる声に耳を澄ます。一瞬が無限に引き延ばされ、冷静な思考が戻ってくる。

 一介の巫女に、帝国を打倒する力があるわけない。それでも、帝国の牙城に僅かでも爪を突き立てん、踏み潰される虫けらの反抗の意志を示さんと。元から悲壮な覚悟の決起ではなかったか。

 帝国兵を名乗るこの男と、ここで出会えたのはお誂え向き。ウォーレン殿の戦闘指南も今この時のため。我が命を賭して、帝国の尖兵に一矢を報いてくれる。

 ウェンディは剣を抜いた。ここまで付いてきてくれた従者のヘクターも、即座に覚悟を決め、ウェンディに倣う。

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「アイス――」

「相済まなんだ」

 男は剣を収め、膝を付いた。男の連れもそれに倣う。

 わけがわからないウェンディに、男は釈明する。

「見馴れぬ顔だったゆえ、よもや帝国の間者かと訝しんだのだ。ご容赦召されよ」

「じゃあ」

 共に戦う味方か。一気に力が抜ける。

「私の名はランスロット。旧ゼノビア王国騎士団に所属していたが、王国滅亡と共に流浪の身となり、今は亡きグラン王の無念を晴らすため、生き恥を曝しながら機会を窺っていたところ、ウォーレン殿の呼び掛けがあったのだ」

「私はウェンディよ。私もウォーレン殿に呼ばれたの」

 態度も言葉遣いも改まったランスロットは、理想の騎士の姿そのもので、この上ない頼もしさを感じさせた。

「力の勝る相手に一歩も引かぬ心意気。供の者を敬服させる将としての資質。世の非道を許さぬ憂国の志。私からも頼もう、どうか我等の悲願に力を貸して欲しい」

「そんな、私の方こそ」

「なにより気品溢れる眼差しと端正な風貌、指導者たるに相応しい」

 一番大事なのが顔?

 若干の戸惑いを感じつつ、ウェンディは壮年の騎士ランスロットと共に、ウォーレンの城を目指した。

 

 ウォーレンは、遂にウェンディを出迎えてくれた。

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ランスロット殿もご一緒でしたか」

 ウォーレンはさして驚いた風でもなく、城の奥へ案内する。奥には、五十はおろうか、いずれも勇壮な顔つきの戦士達が居並んでおり、中には魔獣も少なからず構えている。

「彼等も、我が呼び掛けに応じてくれた戦士達です」

「リーダーは貴殿になるのか?」

「その話をせねばなりません」

 ランスロットの問いかけに、ウォーレンはちらと居並ぶ戦士達を見る。

「我等のリーダーには、ウェンディ殿を推したいと思います」

 ウォーレンの言葉に、当然周囲はざわつく。何処ぞの馬の骨に過ぎない少女が帝国打倒の旗印だと言われれば、動揺するなと言う方が無理だろう。

 この反応も想定内だったようで、ウォーレンは更に続けた。

「ウェンディ殿の手によって、このヴォルザーク島は既に制圧されています。我等がウェンディ殿を認めぬのならば、ヴォルザークの支配権を奪い取らねばなりません」

 そう言うと、ウォーレンは杖を掲げた。

 これは。

 目を見合わせたランスロットが頷く。

 ウォーレンは私を試しているのだ。戦いに身を投じる覚悟があるのかを。もしこれが本当に帝国軍との戦いなら、一度解放した都市を守り抜く力があるのかを。

「アイスレクイエムッ!」

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 ウェンディは全霊を込めた魔法を放った。周囲の空間が凍り付く。瞬間、ヘクターがさっと戦闘態勢をとる。

「いやはや、広範囲魔法が使える魔法士とは」

 ローブを擦り合わせて冷気に耐えていたウォーレンが、杖を翳す。

「ではこちらも『ファイアーボール』」

 杖の周辺が発光すると、生まれた火球がウェンディを襲う。生まれて初めて受ける魔法攻撃に、全身を強張らせ――。と、火球を受けたのはランスロットだった。

「我等はウェンディ殿に助勢致そう」

「ふむ。人を動かすのも当人の力に違いない」

「ウェンディ殿の剣と相成らん」

 ランスロットが斬り掛かる。接近戦で、騎士のランスロットに遅れはなかった。ウォーレンの喉元、ランスロットの剣が据えられる。

「これがウェンディ殿の実力です。各々方、如何かな?」

 元王国騎士のランスロットを従え、名のある魔術師ウォーレン相手に一方的な決着を付けたウェンディを、並み居る戦士達も認めざるを得なかった。

「我等ウェンディ殿の名の下に、帝国支配からの解放を成し遂げて見せましょうぞ」

 一介の魔術師にしてこれだけの軍勢を集めたウォーレンと、主を亡くしてなお打倒帝国の悲願を追い求め続けたランスロット。これほどの男達が自分を支えてくれる。今のウェンディには、暗黒の力から世界を救えると、確かに信じられる気がした。

「この城に残されていたこれらの装備品も、帝国との戦いに役立つはずです」

 ウォーレンから、「雷神の鞭」と「サンダーグラブ」が渡される。

 東方の海からやって来た乙女、ウェンディに率いられた一団は、強大な軍事国家、神聖ゼテギネア帝国に戦いを挑む。吹き抜ける一陣の東風は、大陸を覆う暗黒を祓い、未だ見ぬ暁を呼び込むだろう。

 

リプレイSSについて

本稿の年紀

 本編では五王国の戦争が25年前ということになっているんですが、本作あらすじとしては、旧ゼノビア王国の生き残りによる復讐劇という形になっていて、基本的に同一世代の話なんですよね。

 翻って25年と言うと、世代交代があってもいいくらい年月経ってるんですけど、登場人物達はゼノビア王国が滅んだ戦争のことを、ついこの間のことのような感じで話すんですよ。

 加えて、帝国軍も自分達のことを「ゼテギネア」の兵とは言わずに「ハイランド」の騎士って言い方するんですよね。呼称定着してなさすぎ。

 年齢を見ても不自然だったり、大体「指導者の登場を」って、四半世紀は流石に待ちすぎでしょ。

 という諸々の事象があって、個人的にこの25年という長さがしっくりきてなかったんですが、ところでみなさん、二倍年暦という考え方があるのをご存知でしょうか。

 古代史の研究で、古代人は今で言う1年を2年として数えていたという説があります。まあ教科書に載ってないことで信憑性は推して知るべしで、僕自身も農耕民が年を分ける必然性が思い浮かばないんですが、面白い考え方だと思うので、本稿ではこれを採用したいと思います。

 本編中には出て来ませんが、古ゼンダ人達は時を計る上で龍の存在に重きを置いていたようです。本編のドラゴンには、熱気に強い龍(レッドドラゴン)、冷気に強い龍(プラチナドラゴン)、温度無関係な龍(ブラックドラゴン)の三系統が存在します。

 ここから、夏至近辺に生まれた龍はレッドドラゴンに、冬至近辺に生まれたのはプラチナドラゴンになる、という仮説を立てます。二回あるドラゴンの産卵期を、古ゼンダ人はそれぞれ1年の節目とする暦を使用していた、ということに本稿ではしたいと思います。

 要するに、25年前は太陽暦で言う13年前ということにしようってことです。改変ではなく、あくまで解釈の範囲の体をとるために、このような操作をしました。一回りなら、同一世代の復讐も、アイデンティティの保持も、違和感が少ないのではないでしょうか。

 当時の人間の寿命が倍だった方が操作としては単純ですが、文面の感覚を重視しました。それに伴って、年齢の方は公式設定から多少ずらすことになりますが、それは追々補足していきます。続編との整合性は、その時考えます。

キャラクター描写

 長い。

 今回、ウォーレン、ランスロットオピニオンリーダーと新キャラクターが3人も出るんで、それぞれ浚っていったらこんな膨大な量になってしまいました。

 次回以降は、もっと短くて済むと思います。

 ウォーレン、ランスロット両名は、本作の中心人物と言っていいはずなんですが、ウォーレンに至ってはこの第1面のみ、ランスロットにしたって次回が終われば、EDまで出番はありません。

 なので、なるべく彼等のキャラクターが立つように、ウォーレンに関しては、ヴォルザーク城を獲得した経緯と、戦いに身を投じた理由を、ランスロットは、何故プレイヤーをリーダーに仰いだのかを描いてみました。

 チュートリアルを、ウェンディに戦士の心得を学ばせるためだったとして、最後のウォーレン城での戦闘で、その目論見が集約するように。

 本編では、プレイヤーは一から十までウォーレンの指示に従って動くわけですが、いきなり「あなたは帝国と戦わねばなりません。星がそう告げています」なんて言われて素直に従うのは、物語的にはちょっとない。正体を隠したまま、ウェンディが真意に気付くことによって、仲間となる必然性を演出しています。

 ランスロットも、会った瞬間仲間になるのでは騎士として重みに欠けるので、ウェンディと一悶着持たせて、彼女に(指導者として)惚れ込むきっかけを作っています。本編の彼は、自分より弱い相手に喧嘩吹っ掛けるような男じゃないので、ご安心下さい。

 オピニオンリーダー(ウェンディ)に関しては、ドラクエ方式の伝統的RPG主人公像ではあるんですが、どうも松野氏の構想として、意図的に具体的な“人物”ではなく“伝説存在”として描こうとしてるっぽいんですよね。

 それを逆手に、本稿では思いっきり肉付けをしました。誰も出自を知らず、たった1ユニットで帝国に反旗を翻した点から、田舎生まれの世間知らずに。レベル1の若者と、キャラメイクの僧侶設定から、未だ成長期にある、正義に燃える乙女のイメージです。

その他二次創作要素

 サージェム島は、セガサターン版のみ登場する隠しステージで、オピニオンリーダーの原風景という設定のようです。非実在ながら地図上で西の内海に示される島を、本稿では東の外海に実在する地図にない島として、ウェンディの故郷としました。

 拠点解放のボーナスとして得られるタロットカードなんですが、単なるボーナスとしては効果が絶大すぎるんですよね。戦闘中のアイテム使用が不可の本作では、力量差を埋める唯一の手段であり、一発で形勢をひっくり返すバランスブレイクです。

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 なので、解放した拠点から神霊の加護を得る、むしろその地の神霊の加護を得ることが拠点の解放を意味する、という解釈によって大きすぎる力を処理しました。

 埋もれた財宝は、都市(今回はヴォルザーク城)によって既に回収されていたという体をとり、今後もこの方針でいきたいと思います。

 「雷神の鞭」と「サンダーグラブ」は、ともにトール由来の武器と防具ですね。ゼテギネア神話には関わってきませんが、様々な武具や防具の由来になっており、おそらく大陸一有名な神です。

 ゼテギネア統一戦争、ヴォルザーク城という語は、本稿の造語です。あと宗教の扱いなんかは、後々披露していきたいと思います。

 ウォーレンとゼノビア王国との関係は、実は本作で一切触れられません。ただ、シャロームの北方の島に城を構えてる以上、王国となにかしらの関係がある身分で、かつ前大戦には参加していなかったという推測が成り立つので、そこと決起の理由を結び付けて解釈をしています。

 本編だと「いい目をしている」という理由だけで配下になったランスロットを反映して、顔を誉めさせています。ただ彼のために弁明させてもらうと、歴史小説なんかでは「面構え」だとか「目許涼やかなる」とか、顔面が英雄の条件として扱われることが多いんですよね。個人的には、顔の良さは十分にリーダーの資質だと思います。

攻略後記

 このウォーレン城のステージ自体は5分もかからないチュートリアルなので、攻略で特筆することはないんですが、一点だけ。

 リプレイからの逆算と、経験値配分のため、オピニオンリーダーのユニットに、途中出撃のランスロットの部隊を編入しています。

 資金節約のためにも最小限の編成で出撃し、マップ中央付近でウェンディ隊とランスロット隊を合流、クレリックのオーロラにリーダーチェンジし、編成コマンドで人員交換。

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 攻略と言うほどではないですが、趣味を追求する人は是非。

 ここまで大変長々と、ありがとうございました。次回は本当に短く収めますので、よろしければまたご覧ください。

 

こちら次回

 

伝説のオウガバトル

伝説のオウガバトル

  • 発売日: 1993/03/12
  • メディア: Video Game