ウェンディ、ゼンダに立つ 『伝説のオウガバトル』攻略日誌 その7 リプレイ前編


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 今回のリプレイ後編はこちら→

 今回の解説編はこちら→

 では、本文をどうぞ。

 

第1部 シャローム蜂起編

ステージ7 忘れ得ぬ秋風

 ポグロムを解放したウェンディは、ゴヤス城で戦後処理にあたっていた。

 森林周辺の都市に兵を派遣して、様子を探らせているウェンディの懸念。それは、カペラを倒したものの、ポグロムの森を覆う瘴気が晴れないことだった。てっきり、森が淀むのは結界の影響で、カペラを倒しさえすれば瘴気は晴れると思ったのだが…。

 巡回に出した兵達が戻ってくる。

 ウォーレンが、ウェンディの疑問に答えた。

「結界により留められていた分は、消え去っています。しかし、どうやら大量の瘴気を孕んで生育した森の木々そのものに、多くの瘴気が溜め込まれているようです。森が、虐殺以前の状態に戻るには、育った年月と同等か、それ以上の時間が必要でしょう」

 人々に刻まれた虐殺の記憶は、悪党一人を倒したくらいで癒されるものではない。ポグロムの森が、そう物語っているような気がした。

「森の中を見てきたが、町の人間が自由に歩き回れるようになるには、まだ時間がかかりそうだ。これは、その時見つけたものだ」

「私はこれを見つけた」

 ランカスターとケミィが、それぞれ「雷獣の盾」と「黒王の剣」を持ってきていた。

 そうしているとマックスウェルも戻ってきて、ウェンディに告げた。

「貴殿に、セルジッペへ来て欲しいそうだ」

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 セルジッペへ向かったウェンディ達を、都市の神官が出迎えた。

「なんでも、ポルトラノ様から貴殿方解放軍に、お頼みしたいことがあるそうで」

 ポルトラノの元へ案内される。その道中、

「この町には、トードという名の商人がいまして」

 その名に、同行していたリサリサは反応する。

「彼はまだこの地に?」

「それが、帝国軍の退却と同時に町から姿を消してしまいました。何分、悪どい取引ばかりしていたような男で、いなくなってこちらとしては清々するくらいなのですが…。どうやらマラノの方で大きな取引があるとか。一応、貴殿方のお耳に入れておこうと思いまして」

 いわゆる悪徳商人というやつか。

 リサリサは、ウェンディに彼と会ったことを話そうかとも思ったが、ウェンディが知る必要もないと思い、黙っておくことにした。

 セルジッペへ戻ってきたポルトラノは、大分顔色が良くなったようだ。

 ポルトラノは、居住まいを正して言った。

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「このポグロムの地から遥か西の、ダルムード砂漠にあるアリアバードという町。其処に住むギゾルフィと申す魔導師に、ある石を貰ってきていただきたいのです」

「石?」

「引き受けてくださいますか?」

「そのくらいのことなら、別に構わないけど」

「ありがとうございます。私からの正式な使いである証として、この『クイックシルバー』を貴殿方に預けましょう。これをギゾルフィに渡せば、貴殿方の身分を信用してくれるはずです」

 たかが石を貰ってくるだけで、随分仰々しい気もするが。余程高価な品なのだろうか。

 ウェンディは、ポルトラノから純銀でできたアンク「クイックシルバー」を受け取り、首から提げた。

 用が済んだので、ウェンディ達はゴヤスへ帰る。

 城へ着くと、次の攻略目標へ向けての軍議が始まる。

「愈々、旧王都ゼノビアの攻略に向かいます」

 ゼノビアという名に、一同の顔が引き締まる。

「先にも申しましたように、我等の蜂起を聞いた帝国は、ゼノビアに神聖ゼテギネア帝国四天王が一人、疾風のデボネアを配しております。デボネア将軍は、音速の剣ソニックブレイドを操る強敵です。幸い、南東の城塞都市ポストイナの市民は、我々に好意的と聞いています。このまま西へ向かうのではなく、一度南のランカグア方面へ下り、ロスアンヘルスを回ってポストイナへ向かいましょう。そこを拠点に、攻略の糸口はないか探ることにします」

 ウェンディ軍の次なる目的地は、ゼノビアの南東、城塞都市ポストイナと決まった。

 軍議が終わると、ちょうどシャロームから補給が届いたところだった。

 物資を届けてくれた彼等には、このままゴヤスに残ってもらい、森に覆われたポグロムの経営を担ってもらう。

 と、補給物資を運んできたグリフォンの一頭が、ウェンディ達に擦り寄ってくる。

「そのマラトーンは特別元気が良かったんで、前線部隊に入れてもらおうと、連れてきたんだ」

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 顔を見ると、確かにマラトーンの目はやる気に満ちていた。

「じゃあ、一緒に行きましょうか」

「クアーッ」

 新しく仲間に入ったマラトーンと共に、ウェンディ軍はポストイナへ向けてゴヤスを発った。

 

 そのポストイナの北方、ゼノビアから真っ直ぐ東に進んだゴヤスとの間に位置する、城塞都市バイロイト

 この街は、まるで外界との交流を拒むかのように、他の都市と比べて一際高い城壁によって、周りをぐるりと囲まれている。というのも、この街には、とある重罪人が囚われており、街全体が彼のための牢獄の役割を果たしているからだ。

 彼の名は、狂戦士アッシュ。元ゼノビア王国騎士団長でありながら、その主君神帝グラン、及び王家の者達を手にかけたとして、まだ王国が帝国に滅ぼされる以前より13年もの間、このバイロイトの牢獄にて収監されている。

 牢からも覗かれる月が綺麗な晩、そのアッシュの元を訪れた者がいる。人目を避けてか、連れているのは魔術師一人だが、身に付けた甲冑と立ち居振舞いから感じさせる雄壮さは、余程の人物と見える。

 彼を脱獄させようとして捕まった二人の従者以来、およそ十年ぶりとなる稀有な来客に、目を細めるアッシュ。月影に浮かび上がったその顔には、確かに嘗て見た面影があった。

デボネアか。久しぶりだな。見違えたぞ」

「それは御互い様だ。まさか、獄中に繋がれた貴殿と見えようとは、思いもしなかった」

 アッシュと対面するこの偉丈夫こそ、この大陸を統べる神聖ゼテギネア帝国女帝エンドラ直属の聖騎士、中でも将軍として兵を預り、自身の武勇も天下に鳴る四天王の一人に若くして数えられ、今はゼノビアで反乱軍制圧の任に着く、疾風のデボネアその人であった。

「大戦時の功績で、貴殿は将軍職に任じられたと聞いたぞ。帝国の将軍様が、わざわざ儂の顔を見に来たのか?」

「勘違いするな。近頃活発な動きを見せる王国の残党を鎮圧するため、ゼノビアに赴いたのだ。貴殿に会いに来たのは、そのついでにすぎん。殺し屋の身を案じていられる程、我々は暇ではない」

 殺し屋という言葉を聞いて、死ぬことすら許されないまま、バイロイトという墓標に閉じ込められた老人の口から、恨み節が溢れ落ちる。

「ふっ、大陸中の人間を殺して回る貴様等帝国からすれば、儂のような小物など眼中にないか」

「黙れッ! 陛下に逆らう輩が悪いのだ」

「こんな僻地での動乱に、虎の子の将軍をわざわざ派遣するかよ。デボネア、貴様は真面目すぎるからな。帝国の施策に楯突いて、中央から遠ざけられたのではあるまいか?」

「くっ」

 獄中の老人を睨み付けたデボネアだったが、思うところがあったのか、何も言い返すことはなかった。

 しばしの無言が続く。

 アッシュの牢の隣には、十年前より主人と共に、ラットとカラベルの二人が囚われている。

「貴公等には、直接の咎はない。過ちを認め、帝国に仕えると誓えば、牢から出すこともできるが」

「アッシュ殿を見捨てて、我等だけ解放を望むと思うか?」

「そうか」

 答えがわかっていたかのように、デボネアは呟く。

 やがて、踵を返して出ていこうとするデボネアは最後に、

「反乱軍が、このゼノビアに向かってきているようだ」

 背中越しにアッシュへ告げた。

「己では手を下せぬからと、反乱軍に儂を斬らせるつもりか」

 悪態をつくアッシュ。

 それには答えないまま、デボネアバイロイトを後にした。

 

 南の迂回路から、ロスアンヘルスを経由してゼノビアを目指すウェンディ軍の前に、城塞都市ポストイナが見えてきた。

 解放しようとしたウェンディ軍は、城塞の手前で一人の女に声を掛けられた。

「反乱軍の方ですか?」

「そうだけど」

ゼノビアに御座すデボネア様から、言伝てがあります」

 民間人だと思っていた女の口から、将にこれから倒さんとする帝国将軍の名前が出たことで、一同に緊張が走る。

デボネア様曰く、民を戦火に巻き込むは、我等とて本意ではない。この先にある、帝国の築いた城塞ミュルニークを解放してある。其処を反乱軍の拠点とせよ、とのことです」

 どういうことだろう。

 帝国軍自ら、我等のために拠点を提供するなんて。

 罠。そう考える方が自然だ。

「罠じゃないと証明できる?」

「勿論、元は帝国のものであれば、攻略の仕方は心得てあります。それでも、貴殿等の武人としての誇りを信じると、デボネア様は申されていました」

 武人としての誇り? そんなことで、我等が敵の誘いに乗ると?

「一応、人を見にやらせましょう」

 ウォーレンの提案で、カノープス達飛行部隊を、ミュルニークの偵察へ行かせることにした。

 にしても、仮に申し出が本当だったとして、何が狙いでわざわざそんなことを。

デボネアの奴、相変わらずのようだ」

 ポストイナ付近に居残っている本隊の中で、アンディが口を開いた。

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デボネアのことを知ってるの?」

 聞き返したウェンディに、

デボネアは昔、剣の修業でゼノビア王国に来ていたことがある。その時はまだ若造だったが、義を重んじる性格で、将来の武人を感じさせる男だった。本国に帰った後に起きた四王国との戦争で、武名を轟かした奴は今の四天王の地位に着いたんだ」

 ゼノビアに居たことがあったなんて。帝国の将軍にも、色々な経歴があるのか。

「その時の奴のことを思えば、民のために拠点を明け渡すくらいのことをしても、不思議じゃない」

 敵であるアンディにそこまで言わしめるなんて。悪鬼のような輩ばかりと思ってい帝国にも、かように立派な男が居たとは。

 そこへ、ミュルニークに行かせたカノープス達が帰ってきた。

「ミュルニークと思しき城があったぞ。本当に無人のまま放置されていて、静かなもんだ」

 やはり本当だったのか。

 グリフォンに乗って同行していたウォーレンも同意する。

「四ツ辻の交差する地点となっていて、侵攻拠点としての立地は申し分ありません。その上作りも堅牢で、流石に帝国の大軍に囲まれれば保たないでしょうが、ポストイナに拠るよりかは戦闘に堪え得ると存じます」

 敵に塩を送るとは言うが、そこまで礼を尽くしてくれるものか。

 ウェンディはアンディに問う。

「そんなに立派な人物なら、帝国に仕えるのを辞めさせることはできないかしら?」

 アンディは渋い顔だ。

「奴の性格からいって、主君への忠義を捨てさせるのは難しいだろう。ミュルニークを解放したのも、全力で俺達を叩き潰すためのはずだ」

 決断だった。

 ミュルニークに入ることは、デボネアの宣戦布告に承服したことを意味する。

 民を思い、主君に忠義を示し、あまつさえ敵にまで礼を重んじる。

 ウェンディの正義に照らせば、彼個人と刃を交える理由はない。

 だが、彼は今、帝国の将軍として、ウェンディの前に立ちはだかっている。

 喩え相手がどれほど尊敬に値する人間だろうと、帝国に与するとあらば戦わなければならない。

 それもウェンディの選んできた、そして今尚選びつつある正義なのだ。

「ミュルニークへ向かう」

 それを聞いて、女はポストイナの町へ入る。

 ウェンディは、神聖ゼテギネア帝国四天王、デボネア将軍に宣戦布告した。

 

 ゼノビア城内のデボネア。彼の頭には、先日顔を合わせたアッシュとの、遥か遠い日の記憶が去来していた。

 遡ること20年近く前、先王モリー崩御に伴いハイランド王国に起きた混乱は、モリースの妻エンドラを一時的に即位させることで収まりを見せたが、宰相サレムの手によって、ハイランド家臣団に多少の再編があった。

 デボネアの家は、その剣によって代々騎士の位に就き、デボネアの父の代に王家直属の聖騎士の号を賜ったが、その父が早世し、まだ幼かったデボネアを父の弟が後見していた。

 政変時、宰相サレムの後ろ楯を得たデボネアの叔父は、自身が宗家の家督を相続。家に居場所のなくなったデボネアは、別れを惜しむノルンを振り切り、半ば放逐の形でハイランドを出たのだった。

 ハイランドを去ったデボネアに唯一残されていたのが、父祖伝来とされる剣ソニックブレイド。幼少より武芸に打ち込んでいたデボネアは、剣の道で身を立てようと決めた。

 諸国を遍歴しながら、武者修行の日々で耳にした、他国、特に大陸の東側では、ハイランド騎士団と並び称されるゼノビア騎士団。中でも、騎士団長を務めるアッシュという男は、武勇、人格共に比類無しとされ、ゼノビア王国初の聖騎士に任じられる日も近いという。

 それまでハイランドこそが世界の中心であったデボネアにとって、最強の象徴たるハイランド騎士団と同等と目されるゼノビア騎士団の存在と、そしてかの騎士団を背負って立つアッシュという男の存在は、俄然興味を引くものだった。

「お前が、噂のアッシュか?」

 そこでデボネアは、ゼノビア王国に乗り込み、領地を遊歩中だったアッシュを探し当てると、その前に立ち塞がった。

 平和と繁栄を謳歌していた当時のゼノビア王国は、他国からの流れ者を受け入れることを拒まなかったのだ。

 見るからに剣客の風貌をしたデボネアの姿に、アッシュの供をしていたラットは警戒する。

「いかにも、私がゼノビア王国騎士団長、アッシュ・シルヴァスタだ」

 剣に手をかけるラットを制して、アッシュは答えた。

「俺の名は、クァス・デボネア。剣の道を志して旅する道中、アッシュという男が相当の腕だと聞いたものでな。貴様が本当に腕の立つ剣士だと言うなら、俺と剣で勝負してもらおうか」

「貴様、礼儀というものを知らんのか。何故アッシュ殿が、貴公のようなならず者との勝負を受けねばならんのだ」

「まあまあ、良いではないか。王陛下の治世により、このゼノビア王国は長年に渡って平和を享受してきた。それは誠に結構なことだが、活きのいい若者を見る機会が減ったことだけが残念だ。俺も久々に、腕自慢の剣士と剣を交えたいと思っていたところよ。貴公との勝負を受けよう」

 掛かった。

 所詮南国の平和呆け騎士団。団長のアッシュとて、ハイランド聖騎士の父の下で剣を磨いた俺の敵ではあるまい。勝負にさえ持ち込めれば、こちらのものよ。

 一応人目を避けたアッシュの邸内で、従者カラベルの立ち会いの下、デボネアとアッシュは勝負をした。

「始めぃッ」

 号令と共に、アッシュの懐へ飛び込むデボネア。そこから、目にも止まらぬ速さで繰り出される剣擊。

「ッ、速い!」

 堪えるアッシュを尻目に、デボネアの剣は止まらない。

 やはりこの程度か。剣の腕では、俺は叔父上にも勝っていた。今の俺の剣は、あの頃より更に強い。アッシュとやら、あと何合持ち堪える?

 だが――。

 いくら打ち込んでも…崩れない?

 デボネアの神速の剣を、アッシュは最小限の動きで全て防ぎきっていた。

 人間は、無限に動けるわけではない。攻め続けたデボネアの、息継ぎをする一瞬の隙、

「ぬんッ!」

 肩からぶつかってきたアッシュに、体格の劣るデボネアはぐらつく。

「鋭ッ!」

 体重を乗せて振り下ろされた剣は、受けようとしたデボネアの剣を叩き落とし、彼の首元でピタと止まる。

「参りました」

 デボネアは膝を付き、頭を垂れた。

 

 それ以降デボネアは、アッシュの好意で彼の邸の食客になっていた。

 負けてすっかりしおらしくなったデボネアは、自分の身分を明かし、頭を下げてその場を去ろうとしたが、デボネアを気に入ったアッシュが、行く宛がないのであれば家に来いと誘ったのだ。デボネアは、無礼な挑発で勝負を仕掛け、あまつさえ敗北した自分にそのような待遇は身に余ると断ったが、アッシュが無理に押し通した。

「貴公は私を倒しにきたのであろう。なれば、私に勝てるまでは、この地に逗留してはどうだ?」

 初めは、異国生まれの流浪の剣士に距離を置いていた邸の者達も、元の礼に篤い武人となったデボネアに程なく心を開き、アッシュの邸で過ごした時間は、デボネアにとって久方ぶりに心安らげる一時となった。

 その中でも、デボネアとアッシュの勝負は続けられていた。

 負ける度にデボネアは、アッシュに勝つための方を模索して、嘗てより一層真剣に修業に励んだ。

 最早勝負というより、実戦形式の稽古とも言える様相だったが、デボネアは元よりアッシュの方も一切手を抜くことなく、二人は何度も剣を合わせ、デボネアは何度も負け続けた。

「お前さんもよくやるな。もういっそのこと、アッシュ殿に勝つのは諦めて、我等と共に家臣となったらどうだ?」

 アッシュの臣下の一人であるアンディが、勝負で付けられた傷を冷水で冷やしていたデボネアに声を掛けた。

 デボネアは今では、アッシュの家臣達からも、同輩のように扱われているのである。

「うむ、俺もそう思ったことが、ないではないが」

 傷を見ながら、デボネアは考えている。

「実際に剣を合わせてみてわかるのだが、アッシュ殿は本気で、俺がアッシュ殿を倒し、ここを出ていくことを望んでいるように思う」

「そんなことはないだろ。アッシュ殿は、貴殿のことを息子のように可愛がってるぞ。我等とて、貴殿のことを皆気に入っている。ゼノビア騎士団に、貴殿のような戦士が欲しいくらいだ」

「俺のような人間には、勿体ない言葉だ」

 デボネアも、周囲の暖かさには感謝していた。

「だが、そういう意味ではないのだ。出ていけというのではなく、剣を通して、俺に何か、足りないものを教えようとしている気がする。それがきっと、俺が勝てない理由なのだ。アッシュ殿は、俺がそれを見つけ、剣士として一人で立てるよう、稽古をつけてくれているのだと思う」

 言葉は頼りないが、デボネアの声には、幾度もアッシュと斬り結ぶ中で感じた確信があった。

「ふーむ、俺にはよくわからんが、続けるならまあ頑張れよ」

 デボネアがアッシュに勝てるかは、家臣達の中でも関心事の一つになっていた。

 デボネアがアッシュの元に身を寄せて、半年は経とうか。

 今日もデボネアはアッシュに挑む。

 アッシュが構える前に――。

 半年前より、半歩分速いデボネアの踏み込み。

「むっ」

 剣が間に合わないと悟ったアッシュは、前蹴りで突進を殺す。

「ぐっ、まだ」

 体勢を崩すも、沈んだ重心から強引に跳躍し、体ごと突っ込む。

 と、僅かに体をずらしたアッシュ。直線的な力は、いとも容易く外に逃がされる。そこには、ガラ空きになった胴。

「がはッ!」

 腹にめり込む平打ち。デボネアは悶絶した。

 これで24戦24敗。

「貴公の剣は、先祖伝来とやらか?」

 デボネアの呼吸が整った頃合いを見て、アッシュが問うた。

「そう聞いている」

「成る程な」

 アッシュはデボネアに向き直った。

「貴公の戦い方では、一生私に勝てない」

「なっ」

 いきなり何を言う。

「疾風となりて懐に飛び込み、神速の剣で敵を斬りつける。我がデボネア家は、この戦法で数々の武名を成してきた」

「その剣でか?」

「そうだ」

「武名を得る度に、何度その剣を研ぎ直したろうな?」

 何だ? 何を言おうとしている?

「軽いのよ、その剣は。嘗ては、敵を鎧ごと薙ぐ重量があったかもしれんが、今のその剣では、受け止めることは容易い」

「我が先祖伝来の剣が、軽いだと…?」

「剣だけではない。貴公の体躯は並みの剣士を上回るが、私よりは劣る。体格で劣る相手に近接戦を挑むは、分が悪いと思わんか?」

「ぬうっ、俺の体では、父祖の剣を振れぬと申すか!」

「世界は広い。敵と必ず、同じ体格差とは限らない。剣の技とは、絶えず変化する状況に応じて使い分けるものだ。貴公の信じる強さが、絶対ではない」

「放逐されたと言え、俺に流れるは誇り高いハイランド騎士の血だ。俺は俺の剣で、貴殿を超えてみせる」

「そうだ、貴公の剣だ。考えろ。貴公の踏み込みの鋭さは、何者にも勝る。音速を超える剣速を、最も活かせる間合いは。体格で劣る私に、貴公が克つ術を」

 俺が、強者であるアッシュ殿に克つ術。

 デボネアは再び立ち上がった。

「その剣の重みが真に尊ぶべきものなら、それを使う貴公の方が変わらねばならぬ」

 掴みかけてきた気がする。

 手に持った剣の感触を確かめる。本当だ、軽い。

 だが、この軽さは力だ。この剣ならば、疾風を生み出すことも容易い。

 敵の眼前に迫るこれまでの踏み込みは、疾風が駆けるには窮屈すぎる。

「見せてみろ。今亡き父の影ではない、貴公自身の剣をッ!」

 間合いを詰めにくるアッシュ。

 デボネアに比べ、アッシュの動きは決して速くない。間合いはこちらに味方する。

 踏み込んだデボネア。まだアッシュの剣は届かない。

 構わず振る、最速の剣。音速を超えた剣は衝撃波となって、カウンターでアッシュを襲った。

「うぅッ!」

 アッシュが膝をついた。

「勝った…のか? 俺が、アッシュ殿に」

  25戦目にして、デボネアは漸く白星を得た。

 

「ああ、アッシュ殿!」

 念願だった初白星に、しばし呆然となっていたデボネアだったが、はたとアッシュの容態が心配になって駆け寄る。

「うう、見事だ」

 アッシュは、デボネアの肩を借りて立ち上がる。

「怪我の具合は?」

「心配ない。二、三日すれば、治るだろう」

 傷の深さを確かめながら、アッシュは言った。

「一つの考えに凝り固まっていては、いつか切羽詰まる時が来る。如何なる状況にあっても彼我の力の程を量り、己の意を通す最善の法を見極める。混沌の中に確たる己を見出だしてこそ、真に剣の道を極めたとぞ言う」

 今なら、わかる気がする。

 解し得ない所で自分の処遇を決められた俺は、自分にわかる道理、即ち剣の強弱が支配する世界、その法則に準じようとした。

 それはつまり、剣に負ければ死ぬこと。そこのみに己の価値を置き、それ以外のものを見ようとしていなかった。

 その呪縛を解くために、アッシュ殿は俺を打ち負かし続けたのだ。

「それにしても、凄い業前だった」

「この剣が、力を貸してくれた」

 真に俺が受け継いだもの。それは、数多の敵を屠ってきた剣の技ではなく、ハイランドの騎士として、王家を支えてきた誇り高き魂だ。

 形を変えたとて、剣に込められた魂は変わらない。だが、いや、だからこそ、この剣ソニックブレイドの魂は、俺の技、俺自身の価値で示さねばならないのだ。

 ハイランド聖騎士の剣を受け継いだという覚悟が、俺に新たな一歩を、俺自身の人生を切り開く一歩を踏み出させてくれた。

ソニックブレイドデボネア家が受け継いできたこの剣ではなく、俺自身が振るうデボネア家の魂という意味で、この剣と同じ名付けとする」

ソニックブレイドか。疾風勁草の貴公に相応しい技だ」

 肩を組み、談笑する二人には、確かに師弟の絆があった。

 そこへ、

デボネア殿はいらっしゃいますか?」

 邸の者が訪れる。

「どうしたのだ?」

「ハイランド王国から、使いの者が参っています」

「ハイランドから?」

 急いで支度を整え、面会する。

 使者は、予想外の事実を告げた。

 先王モリー崩御時、宰相サレムによる私的な家臣団再編があったが、エンドラ女王の即位後もサレムの専横政治はずるずると続き、古くからの家臣達には不満が溜まっていた。

 即位から半年後、聖騎士等の支持を受けた女王エンドラは親政を開始。宰相サレムを政界から追放すると、サレム派の臣下を一掃。女王に忠誠を誓う騎士団の下、ハイランド王国は急速に纏まりつつあるとのこと。

「ついて貴公には、デボネア家の家督を継ぎ、騎士団の一員に加わってもらいたい」

 聞くところによると、叔父の排斥により身分剥奪となりかけたデボネア家の処遇に際し、父と親交があり、今や王国の将軍を務めるヒカシューの助力で、デボネア家督相続を条件に騎士身分を残してもらえることとなったらしい。

「少し、考えさせて欲しい」

 降って湧いた好運。いや、好運と呼べるのだろうか。

 正直デボネアは、自分が再びハイランドに戻る日が来ようとは、思ってもみなかった。

 それが突然、家督の相続に、騎士待遇。今の不安定な身分からすれば、願っても得られない地位だ。だが…。

 デボネアには、相談すべき相手がいた。

 話を聞いたアッシュは、手放しで喜んだ。

「貴公は、かような所で燻っているべき男ではないと思っていた。いや、デボネア殿」

「ですが、俺はアッシュ殿に数々の御恩が――」

「貴殿は、遠く離れた異国の地に逗留し、邸の主人の暇潰しに付き合ってくれただけ。何も恩義に感じることは御座らん」

 アッシュは、事も無げに言い放った。

「しかし、それでは…」

 流浪の身の自分に住む場所をくれ、剣の稽古までつけてくれたこと。なによりその人徳に、デボネアは本気でアッシュの家臣になってもよいと考えていた。ゼノビア王国戦士団には入れずとも、有事に命を張ってこの男を守る、それが出来れば満足とまで思っていたのだ。

 帰る家が出来たからと、このまますんなり去っていくことが許されるだろうか。それ以上に、他国の戦士同士となるのだ。今は互いの国も友好関係にあるが、万に一つ、戦争にならないとも限らない。そうなった場合、これ程自分に尽くしてくれた相手に、俺は刃を向けねばならぬのか。

 そんなデボネアの心境を察して、アッシュは穏やかな、しかし言い含めるように、一言一言はっきりとした口調で語った。

「私が貴公に剣を指南したのは、自分に利するためではない。誰かを救い得る男が、道に迷っている。その誰かを、私では救えない。なれば、男に道を教えるのが、騎士たる私の務めではないか。今、その男を必要とする者がいる。ハイランド騎士の誇りを抱く男であれば、取るべき道は自ずと一つであろう。戦場で見えることを懸念するのであれば、御門違いもいいとこ。戦地にて一人前の姿を示すことこそ、騎士として最高の恩返しよ」

 アッシュの邸を発つ最後の日。

 邸の者総出で、若きハイランド騎士の門出を見送った。

 デボネアの肩に手を置くアッシュ。

 その目は、この半年で見た最も優しい色だった。

「願わくば貴殿が、その剣に誓いし誇りに相応しい騎士と成らんことを」

 万感の思いに打たれ、デボネアは深々と頭を下げる。

 そうして、デボネアはハイランドに戻ってきたのだった。

 

 太陽がちょうど南天する時刻、ウェンディ軍はミュルニークへ入った。

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「では、いつものように情報収集を、と行きたいところですが、敵は我等がこのミュルニークに入ったことを既に承知のはず。あまり悠長に構えている暇はないかもしれません」

 デボネアは、こちらを全力で叩くために、わざわざ無人の城塞を宛がった程だ。激しい戦いになることは必至だろう。

「せめて、城壁を攻略する術だけでも、見つけたいところですが」

「城壁っていうのは、あれ?」

 ウェンディは、正面、北方に見える城壁を指して聞く。

「いえ、あれはバイロイトの城郭です。ゼノビア城は、ここより北西に見える、あれです」

 ウォーレンの指す方角には、

「…なに、あれ」

 初めウェンディには、そこに壁があるものと思っていた。だが現実には、ミュルニークから覗く視界の北西部を完全に覆い尽くす程の、巨大な建造物だったのだ。よく見れば、城壁の手前に、幾つかの都市が存在するのが見える。

 思わず、カノープスの方を見るウェンディ。

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「残念だが、俺の羽を以ても簡単には越せない」

グリフォンの飛ぶ高さなら問題ないでしょうが、少数編成となる大空部隊だけで、敵の本拠地まで迫れるかどうか」

 デボネア靡下の正規兵だ。兵の数も、練度も、今まで以上のはずだ。

ゼノビア以外の都市も、バイロイト?だったかしら、ああやって城壁に囲まれているの?」

 ウェンディは、北の城郭に目を移す。ゼノビア程ではないが、こっちも高い壁が町を覆う。

「いえ、バイロイトは特殊でして、彼の地は、ゼノビア王家殺害の罪人、王国騎士団団長アッシュを逃がさぬ監獄の役目がある都市なのです」

 騎士団長が王族殺しの罪人? なんて畏れ多い話だ。

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「あのアッシュ殿がグラン王を手に掛けたとは、どうしても思えんがな」

 軍で面識のあったギルバルドは、険しい顔で呟く。

 ギルバルドの懸念を、ウォーレンが補足した。

「グラン王の暗殺直後、その下手人としてアッシュ殿が捕縛され、バイロイトに投獄されることに。ただ、怪しむべきは、アッシュ殿の監禁を支持した貴族連中が、大戦時挙って帝国へと寝返ったことです。その多くは、ゼノビア攻防戦の際討ち取られ、真相はわかりませんが、あるいは国王暗殺時、既に帝国側の内応工作が及んでいたのやも」

 栄えあるゼノビア貴族達の腐敗ぶりは忌々しい限りだが、それが事実ならば、王国の支柱たる騎士団長に重罪を着せ、国家の弱体化を図ったという推察も成り立つ。

「加えて不可解なのが、帝国も未だにアッシュ殿をバイロイトに閉じ込めたまま、放ってあること。アッシュ殿が本当に王殺しの罪人なら処刑すべきでしょうが、敢えて生かしたまま、バイロイトごと封印し、王国の墓標のように残してある。旧王国民の反帝国感情を逸らす意味合いもあるでしょうが、帝国にとってもグラン王の死は、無暗に掘り返したくない事情があるのでしょう」

 自分達が犯した罪を、あくまで他国自身の問題として処理させる。その象徴としての、囚人。そんな役回りを押し付けられて、

「アッシュには、真実を告げる機会すら与えない、というわけね?」

 ウェンディの問いに、ランスロットが首を振った。

「いや、アッシュ殿は、自ら罰を受けることを望んだのだ」

 ん、話が見えない。

「彼が、王を殺したわけじゃないんでしょ?」

「アッシュ殿は、ゼノビア王国にその人ありと言われた、騎士団の鑑のような御仁だった。王家の繁栄をその誇りとしていたアッシュ殿だけに、グラン王をむざむざと殺されてしまったことが余程堪えたのだろう。国王殺害の責め苦を一身に背負ったのだ」

 担うべき役割を果たせず、何よりも大切なものを喪って、自身を許せない気持ちはわからないではない。

 だが、その結果、王国の瓦解は加速し、悪しき帝国に滅ぼされてしまったのではないか。

「ウェンディ殿」

 居並ぶ戦士の一人、アンディが呼び掛けた。

ゼノビア城の攻略において、戦略上の価値があるわけではない。だがどうか、バイロイトのアッシュ殿を解放してはもらえぬだろうか」

 北西に位置するゼノビアに対し、北のバイロイトへ向かうことは多少の回り道となる。そもそも、あの城壁を越えるには手間がかかるだろうし、他都市との交流も盛んとは思えず、大した情報は得られないかもしれない。でも、

「私も、アッシュから真実を聞いてみたい」

 ゼノビア王国が滅ぼされた理由。帝国の支配が正当な理由があの城にあるというのなら、それを確かめずには、真にゼノビアを解放したことにはならない。

 歴史に葬られようとしているゼノビアの悲劇を、陽の下でもう一度照らし出し、正当に位置付ける。それが、亡きグラン王への手向けではないだろうか。

「では、第一の目標は、バイロイトとしましょう。カノープス殿、マックスウェル殿、ランカスター殿をそれぞれ、ウェンディ隊、ハドソン隊、リサリサ隊に配した飛行部隊三隊で、まずはバイロイトを目指します。このミュルニークは、ラーク殿を中心とする地上部隊で、防衛をお願いします」

 ひとまず、軍の方針が定まった。

「先陣はハドソン隊、リサリサ隊は殿軍を」

 ウェンディ隊、他二隊は、北の城塞都市バイロイトへ向けて、進発した。

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 ウェンディ隊の行く手に、バイロイトの城壁が見えてくる。

バイロイトの中へは、我等ウェンディ隊とリサリサ隊で入ることにしましょう。ハドソン隊は、城壁の手前で敵の監視についてください」

 先行していたハドソン隊が、バイロイトの北面南面を共に見張れる位置に着くと、ウェンディ隊は城壁越えにかかる。

 確かに、一飛びにというわけにはいかないが、カノープスの羽による恩恵があれば、幾度か壁を蹴って翔び上がることで、越えられないというわけではない。

「これなら、ゼノビア城の攻略もできるんじゃない?」

ゼノビアの城壁は、これより遥かに高いものです。翔べるといっても、やはり策無しにぶつかるのは賢明ではないかと」

 遠く離れたミュルニークから、視界を覆い尽くしていた壁を思い出す。

「そうだったわね」

 一足先に城壁を乗り越えたウェンディ隊に続いて、後進のリサリサ隊も追いつく。

「漸く来たわね」

「申し訳ない。途中でこれを見つけたので、拾っておいた」

 リサリサ隊は、「マラカイトソード」を拾得していた。

 城塞都市バイロイト。その中央部に聳え立つ塔こそ、アッシュが囚われている牢獄だ。

 バイロイトを解放したウェンディ達は、まるで時の流れから隔絶されてあるかのような威圧感を放つ、監獄塔へ向かった。

「ふむ、妙ですな」

 軍事施設ではないと言え、重犯罪者を閉じ込めてある牢だ。帝国の警固兵との遭遇は覚悟していたが、塔内に番兵の気配はなかった。デボネアは、人を引き揚げさせたらしい。

 階段を上った先、アッシュとその二人の家来が囚われる牢があった。

「誰だ?」

 一番奥の牢から響く男の声は、微かに嗄れた感じがした。

「私達は帝国を倒さんとする者よ。アッシュね。貴方に聞きたいことがある」

 ウェンディが近付こうとすると、

「待て」

 嗄れた声が制した。

 見ると、三つの牢を繋ぐ廊下の先に、鎮座する影。

「ストーンゴーレム」

 石でできた人形が、ウェンディの前方、何もない空間に、視線を落としている。

 成る程。これが看守の代わりというわけか。打ち毀せるか。

 剣を抜こうとしたウェンディを、f:id:boss01074:20200720061031j:image

「それには及ばないでしょう」

 ウォーレンが制する。

 そう言うと、その場から両手を前に翳し、何やら呪文を唱える。

 詠唱が終わる。と、ゴーレムはゆっくりと立ち上がり、牢の鍵を次々と抉じ開けていく。

「魔法式を上書きしました。一先ず、私の意の儘に動きます」

 ウェンディ達は、ゴーレムが鍵を開け終わって尚、牢の中に居座っているアッシュの前に来る。

「儂に聞きたいことがあると言ったな。貴殿等は儂を斬りに来たのではないのか」

「貴方は、なんでここに居るの?」

「儂は、王殺しの罪人だ」

 憮然として言い放つアッシュ。

「貴殿が王陛下を手にかけるはずがない」

 その声に、アッシュは聞き覚えがあった。

「ギルバルド殿、生きておったか。貴殿も反乱軍に加わっていたとは」

 表情が少し和らいだアッシュに、ランスロットも言葉を次ぐ。

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「我等は皆、貴殿に憧れて戦士の誓いを立てたのだ。我等の理想だったアッシュ殿が王陛下を裏切ったとは、どうしても思えん」

「貴公は…、騎士団の者か」

 元王国騎士団長の顔に、言い知れぬ憂いが浮かぶ。

「しかし…」

「王家を護れなかった貴方の悔恨は、想像に余りあるでしょう。でも、真実をこのまま闇に葬っては、ゼノビア王家の名誉は永遠に失われたままよ。最も信頼した騎士に討たれたなんて最期、グラン王にとっても浮かばれないんじゃなくて?」

 グラン王にとって。その言葉は、己の罪とばかり向き合い続けてきたアッシュに、いたく響いた。

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「儂は、グラン王を殺したも同然なのだ」

 アッシュは、重い口を開いて、13年前の真実を語り出した。

 

 

伝説のオウガバトル

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  • 発売日: 1993/03/12
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