#43「輝く星の恋心。ほまれのスタート。」
神回だった。あまりの感動に昂ったエモを、ここに吐き出したい。
話の概要
今回のストーリーは『はぐプリ』のメインキャラクターの1人、キュアエトワールこと輝木ほまれが1年かけて育んだ恋心に決着を付ける話となっている。
プリキュアで恋愛が描かれることはなくはないけど、1年を通してここまで丁寧に描かれたのは初めてだと思う。
しかもそれが、間違いなく輝木ほまれ、キュアエトワールの物語になってるってところが本当にはぐプリで期待を裏切らない。
ほまれがどういう女の子だったかというと、彼女は期待を裏切ってしまった自分と向き合えず、跳べなくなったフィギュアスケートのスター選手。将来を嘱望されながらも故障でスケートを離れ、初登場時にはイップスのような状態。
なんだかんだあって、諦めなかった主人公はなに憧れて、はなの応援を受け入れて彼女はプリキュアになった。
大意要約すると、憧れられる存在でいるその地点に向かって、自分の足で跳ぶことを選んだ少女。挫折と憧れ、そしてその間を応援で繋げてもらうのが彼女の物語。
今回の話も、完全にそうした彼女のキャラクターの上に立脚してる。
ほまれがなりたい未来の1つであったハリーと一緒の未来が来ないとわかって、彼女が怖れたのは今までの思いが無に帰すこと。その怖れが彼女のスケートに絡み付く。
それでも覚悟を決めた彼女は、仲間の応援を求めて告白に向かう。
告白は実を結ぶことなく、ほまれははなの胸で本気で泣く。
でもその後で、彼女は自分の未来を、輝木ほまれというきら星を掴むために跳ぶことができる。
そうなりたいと、輝く姿を見せたいと他ならぬ自分で願ったから。そしてそのほまれを、自分にできる精一杯でハリーも応援する。
挫折に打ちひしがれることは誰にでもあって、誰よりも高く跳ぶことができたほまれだからこそ、何も掴めない怖さもわかってたんだけど、自分を肯定してくれる応援を求め、その応援を受けた彼女は、見る人々を元気づける唯一無二の輝木ほまれという存在に向かって跳んでみせた。
ぼかし演出多めの中、失恋に終わったこの恋を肯定したほまれが、ラストは祝福を飾る。この今の自分を形作ったこれまでを肯定して、理想とは違った未来へ歩き出すっていうのがはぐプリが一貫して伝え続けてるテーマ。本当にはぐプリは芯がブレないで、感動するストーリー紡ぎ続けてる。
キャラクター配置の妙
視聴者とさあやが1年間見守り続けてきたハリほまだけど、実は周りのキャラクター達は気付いてなかったんよね。そしてそれを教える役目が、既に失恋を経験したパッフル。はぐプリはキャラクターが生き続けてる。
さあやはさあやでほまれに寄り添ってて、その一方で、はなと一緒に応援してくれるノリの良さとかも超好き。
前回大活躍だったアンリ君が今度は支える側で、自ら示してみせたようにみんなが見たいのは自分の未来をめがけて跳ぶ輝木ほまれだって伝える。
そしてこの1年でほまれが得たものを肯定してくれるのが、挫折した時期も知ってる母親で、失恋を経験しようとする彼女にかける言葉でシングルマザー設定も回収。
二人ともほまれの片想い恋愛を肯定する立場で出てくるんだけど、その役割は相補的。
アンリ君は初め、スケート以外のことにかかずらってる暇なんてないってスタンスで登場したんだけど、スケートに向き合うために、ほまれが輝木ほまれであることが重要だって言ってのける。アンリ君自身この1年を通して成長してて、その集大成が前回。そして今回はその成長がメインキャラのドラマに関わってくる。
母親が話すのは、恋愛には楽しいことも辛いこともあるけど、その全てが愛しいものであるし、今のほまれにはそれを受け止めてくれる仲間がいるんでしょって。自分の心を自分で否定する必要はないんだよっていう台詞を言わせるのに、離婚経験はこれ以上ない設定。
目先のことがどうこうごちゃごちゃ言ってるのは受け手側で議論がしたい奴等だけで、作ってる人達はちゃんと考えて練られた物語を組み立ててる。
余談めいた話
男女の境界を跳躍してみせたハグプリが異種族間を強調してたのも気になった。
同種族でも結ばれないビシンへの対比か、あるいはトゥモローとハリーの関係に返ってくるのかもしれん。ビシン君の眇キュンとくる。
ほまれの恋愛の裏で描かれることで思い出したけど、ジョージ・クライってはなにとって憧れの人的なポジションで出て来てたんだよね。
クライにはながどういう決着をつけるのかも気になる。
とりあえず、女児に近付いてくるおっさんはろくな人間じゃねえっていうのは確かや。
あと個人的には「ほまれは可愛いよ」って言うさあや、抱こうとしてるようにしか見えない。
ほまれがガチ泣きするシーンで、わざわざはぐたんが何かを察するカットを挟んでるんだよな。
恋仇のトゥモローとしての意識が働いてってことかもしれんけど。
状況だけ見れば、はぐたんにとって“大人”のほまれが見せる“子供”の顔に戸惑うってシーンなわけで、なんというか子供ってこういうの察するよねっていうのを描いてるのが個人的には結構すげえと思った。
歴代通してそうなんだけど、プリキュアで失恋が描かれる時って、失恋する女の子の作画ヤバ気合い入っててめちゃくちゃ可愛く見えるのよね。こういうところってすごく大事だと思うし、だからこそプリキュア信用できる。
まとめ
本当にこの43話は、はぐプリのキュアエトワール、輝木ほまれの物語の集大成に近い回だったと思う。彼女にとって応援を求める行為は、挫折から自分の足で立ち上がり、その足が憧れる位置まで自分の体を跳ばしてくれることを信じる行為に他ならなかった。
この輝木ほまれっていうキャラクター自体、ちょっと不良っぽい登場とか、イマドキっぽい言葉遣いとか、アンドロイドの次くらいにプリキュアの中でも異質だったと思うんだけど、小倉唯さんの演じる、このクールに見えて純粋で、スターなんだけどごくごく普通の女の子がすげえ好きになった。
ハグプリほど、回を重ねる毎に1人1人の女の子達が好きになっていくプリキュア、歴代でもそうない。