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伝説
人魚
カストラート海ステージで扱われるのは、人魚伝説です。海が舞台になるステージは幾つかあるんですが、人魚が絡むのはこのカストラートだけです。
人魚伝説は洋の東西を問わずあるようですが、凶兆との結び付きが強いようで、最近話題になったあのアマビエも、人魚伝説の一種のようですね。
本作の世界では、人魚自体は普通に存在するため、このカストラート海では特に、肉を食すと不老不死になるという伝説が採用され、それが問題の中心にもなっています。
人魚の肉が不老不死の霊薬というのは、日本の八百比丘尼が由来なんですが、個人的にはこの伝承って竜宮伝説の変型じゃないかなと思うんですよね、根拠はないけど。
ともかく世界的に見れば、人魚を食べて不老不死というのは日本ローカルのマイナー神話なので、本稿においても人魚の迫害を合理化するための偽伝承ということにしました。
オウガバトル
本作においてカストラート海は、地上で唯一のオウガバトル伝説の舞台という設定もあります。そのためこのステージでは、三種の神器の一つ、聖剣ブリュンヒルドが隠されているのですが、リプレイで出てくるのはもう少し後。
オウガによって大陸を追われた人間は、このカストラート海で神の祝福を受け、逆襲してオウガから地上を取り戻しました。今回のポルキュスとの戦いも、そのオウガバトル伝説に関連した話にならないかとリプレイを考えてみました。
データ上のマーメイドは、並の女性戦士やニンジャよりスペックが上だったりするんですが、地形効果を受けると今一つパッとしない。特に、前衛でのSTR不足が深刻。陸上での印象から、人魚は体が弱いという設定を作りました。
非力だったとすれば、人間ごときに迫害された理由にもなります。力の勝る人間に迫害される人魚というのが、オウガバトル伝説でオウガに追い詰められた人間という構図に重なります。サライゴメスで語られる、「人間こそオウガ」という言葉も意味深です。
カオスフレームが低い場合、トンガレバで説教を食らいますが、民からの信頼と神の祝福が結び付けられるのは、個人的にしっくりこないんですよね。オウガバトル時は人間と人魚が手を取り合ったという風にすれば、種族の垣根を越えて信頼される指導者こそ祝福されるに相応しいとなり、ポルキュスとの戦闘にも意味が出てくるのではないかなと思いました。
人種問題
人魚がモチーフになっていますが、現代的な目線から見ると、カストラート海ステージは完全に人種差別の問題ですよね。ただまあ、人身売買も合法であろうこの時代に、レイシズム問題を可視化するのは難しいので、ギミックとして肉を食べていたという八百比丘尼伝説を採用しています。
問題がレイシズムとなると、単純に人間が悪いで終わらせるわけにもいかないので、生活圏の奪い合いに端を発した領土(海)問題という紛争を創作しています。流れとしては、他集団に対する不安感→紛争によるプロパガンダ→慣習化した差別感情といった感じでしょうか。
ポルキュスはグラン王に対して恨み節を嘆いていましたが、本作世界の堯舜にあたる神帝グランがアパルトヘイトをやっていたというのは、ちょっと受け入れ難い。それにカストラートまでとなると、大陸の東半分丸々ゼノビア王国領なので、五王国のパワーバランス的にも疑問。なので、実際に迫害を放置していたのはドヌーブ王国で、グランへは五王国の盟主なのに影響力を発揮しなかったことに対する恨みとしました。
長いスパンで見ればポルキュスは被害者な訳ですが、帝国支配からの解放軍としては、彼女を討たなければならない。そこに関しては、正義の戦争などない、いかなる理由にせよ剣を取った時点で等しく命を張るものという解釈です。勿論、已むを得ずとは言え、彼女を討ったウェンディ達も、決して正しいと言い切れるものではありません。
対立集団の片方を討った身として、ウェンディは強権を発動して侵害行為を粛清し、双方の代表者合議による統治という形を見せて、決着としました。現実の人種差別問題はこんな簡単に解決するものではないと思いますが、一つの理想形として、本稿ではこれ以上の流血が起きない終わり方にしたかったので。
キャラクター
ポルキュス
人間を追放し、自分達の国を作るという悲願を掲げて戦った人魚。本編では、女王とは一言も出てきませんが、人魚達を率いてるところが女王の風格を感じさせるのと、本稿では裏テーマとしてエンドラと重ねたいという意図があったので。
背景が背景だけに、彼女はわかりやすい悪役というわけではないんですよね。倒さねばならない敵ということで、戦いに向かう理由はあるんですが、それも人魚達にとっての安住の地を作りたいということで、彼女も自分じゃなく他人のために戦う戦士です。
なので、ウェンディ達がどうこうより、どちらかと言うと人間を信じられなくなった彼女自身が死に向かってるような描き方がいいかなと。人間から迫害され続けた挙げ句、人間に利用されて命を落とす。そういう悲壮さや哀れさが際立つようなバランスを目指しました。
僧侶系ロードであるウェンディは、ニクシーのポルキュスと相性が最悪なんですが、上記のように重い意味を持つ殺害なので、リプレイ的にはウェンディで倒したい。なので、弱点属性を突くタロット「ハーミット」を使用しました。
地形効果のミスマッチを、道を誤ったことと掛けています。また偶然ではあったんですが、“人魚の苦しむ声は人間に届かない”、“女王の悲願は泡沫の夢と消えた”など、人魚を象徴する「声」や「泡」のイメージをリプレイに活かせたのは良かったです。
攻略記録
軍団編成
今回のステージは、敵本拠地の攻略のみなので、敵を迎撃する先鋒部隊と、ボスに止めを刺す本隊の2部隊で十分です。
念のため、ノルンをリーダーに、本陣守備の第3隊を用意しておきましたが、使いませんでした。
人数が少ないので、第2隊運搬用のランカスター以外は、全員固有キャラですね。
第1隊は、僧侶系ロードのウェンディがリーダーの本隊。運搬キャラは、バルタンのカノープス。他に、サムライのギルバルド、ニンジャのライアンとウォーレン。先発隊からあぶれた人達です。
ボス戦まで戦闘するつもりはないので、陣形は適当。
第2隊は、サムライのアッシュがリーダーの先鋒。運搬キャラは、バルタンのランカスター。サムライのランスロットに、ヴァルキリーのデネブ、そしてプリーストのアイーシャ。今回、主に戦闘を行うのは彼等なので、Lv.の低い人達ってことです。
サムライのランスロットとアッシュを前衛に置き、特殊攻撃を使えるランカスター、魔法攻撃を使えるデネブ、ヒーラーのアイーシャが後衛です。ランカスターは前衛でも良いんですが、アッシュ隊は固有キャラ中心でスペックが高いので、前衛2人でも大丈夫でしょう。ランカスターのALIがそろそろ下がりきりそうなんですよね。
ウェンディ隊は、ポルキュス戦まで戦闘させないので、装備はアッシュ隊のみで結構です。
魔法を使うデネブとアイーシャに、INT補正最大の「神宿りの剣」。リーダーのアッシュには、STR補正最大の「シグムンド」。ランスロットとランカスターには、高STR補正に若干のINT補正もあり、相性的にも安定している火炎属性の「イスケンデルベイ」を装備。
進軍フェイズ
前述したように、特に消化すべきイベントもないので、本陣ファニングから敵本拠地パルミラまで、一気に攻め入ります。
まずは、アッシュ隊を先発。その直後に、ウェンディ隊を進発させ、ともにパルミラ城を目指します。白線がウェンディ隊、赤線がアッシュ隊の進路を表しています。が、今回違いはありません。
先鋒が敗北する可能性がある場合は、本隊の発進を遅らせるんですが、今回は山の東側を抜けてくるプリースト隊が、こちらの先鋒を躱して背後からウェンディ隊に迫ってくるため、アッシュ隊とウェンディ隊は間を空けず、くっ付けて進軍します。
敵部隊
今回、海上を移動してくる敵が多いのですが、進軍ルートを見てわかる通り、最短距離を通ると大体陸地になっています。
なので、バルタンを使った低空移動で進軍すれば、本陣が襲われる前に決着が付くので、本陣防衛の第3隊は必要ありません。
しかも、敵はこちらを陸上で迎撃せねばならないため、敵の主力であるオクトパスが劣化した状態で戦闘に臨めます。作戦「リーダーを狙え」で、容易に勝利できます。
そうなると、怖いのはヴァルキリー2人を連れたプリースト隊と、ジャイアント2体を護衛に付けたゴエティック隊。
プリーストの回復力が厄介というわけではないんですが、ヴァルキリー×2の火力が単純にキツい。本プレイは、スペックの高い固有キャラユニットで攻略しているため問題ありませんが、落とされる可能性がある場合は、雷撃耐性を上げる「雷のオーブ」を装備させてもいいと思います。
そしてそれ以上に、中央山岳部を直進するこちらに対して、東側を抜けて西進してくるため、タイミング的に背後からこちらに迫ってくる形になる。ウェンディ隊が捕まらないように、スタートと同時に進発するアッシュ隊から0コンマ秒でウェンディ隊を発進させる必要がありました。
ゴエティック隊は、ジャイアントの方は大したことないんですが、ゴエティックの放つ全体魔法の火力は、敗北に追い込まれる可能性も出てきます。固有キャラで構成されたアッシュ隊、特にデネブの火力があれば勝てるんですが。
火力に不安がある場合は、敵の前衛と後衛を入れ替えるタロット「ムーン」を使用してゴエティックの魔法を封じれば、汎用キャラでも勝利することができます。
パルミラ攻略
パルミラ防衛の敵部隊を蹴散らしたら、ポルキュス戦の戦闘準備です。
ポルキュスは後衛にいるので、魔法を使えるデネブを本隊のウェンディ隊の方へ移します。
ウェンディ、ウォーレン、デネブでウェンディ隊の後衛3人が固まったので、前衛役として、もう使わないヒーラーのアイーシャ、サムライの中で最もSTRの低いランスロットもウェンディ隊へ。
代わりにウェンディ隊から、カノープス、ギルバルド、ライアンをアッシュ隊へ移します。
アッシュ隊の陣形は、サムライのアッシュとギルバルドが前衛、後衛がバルタンのカノープスとランカスター、そしてニンジャのライアンです。
ポルキュスの物理耐性は低いので、後衛はソニックブームを撃てるサムライで固めてもいいんですが、相手のAGIが高く回避される可能性が高いので。
こちらもAGIが高く攻撃を外しづらいバルタンを後衛に置いています。バルタンが後衛で放つサンダーアローは、ポルキュスにとって1番の弱点属性です。
ライアンのINTではダメージを稼ぐのは難しいんですが、一応ニンジャは2回攻撃できるので、後衛に置いておきます。
そして、少し特殊ですが、前衛の攻撃を分散させたいので、ギルバルドとアッシュを両サイドに開いて配置しておきます。
ウェンディ隊の陣形は、先述したようにサムライのランスロットとプリーストのアイーシャが前衛、ニンジャのウォーレン、僧侶系ロードのウェンディ、ヴァルキリーのデネブが後衛です。
プリーストは基本的に後衛のクラスなんですが、ウェンディ隊を見た時にアイーシャのSTRが高い方だったのと、ダメージソースとなるウォーレンとデネブを後衛に配したかったので。
ウェンディ隊も、ランスロットとアイーシャの間を空けて配置します。
装備は、少し考えがあるので、アッシュ隊の後衛陣にのみ着けておきます。
カノープスとランカスターは、属性と関係なくSTRに対する補正のみ影響を受けるので、それぞれ人魚と相性の悪い氷結属性と神聖属性の最強武器「マラカイトソード」と「ルーンアックス」を。
ライアンの攻撃はINT依存なのですが、後のことを考えると一々着け替えるのが面倒なので、INT補正の高い「神宿りの剣」×2と「神秘のメイス」はとっておいて、若干のみ補正がかかる「イスケンデルベイ」を装備させておきます。
ポルキュス戦
作戦は勿論、「リーダーを狙え」で固定です。
1番手はアッシュ隊。
人魚は物理耐性が低いので、武器を持たせていないアッシュの攻撃でもなかなかのダメージが入ります。
ポルキュスのアイスストームはダメージが大きいですが、これ1発だけなので、そこまで脅威ではありません。
カノープスとランカスターのサンダーアローがともに命中し、ポルキュスを削ります。気付いたら、カノープスのSTRの方が低くなってました。
ライアンの雷遁は外れますが、これは想定の範囲内。
ギルバルドが右側のマーメイドを削ります。これも、ギルバルドのSTRの方がアッシュより高くなってました。
マーメイド達の反撃がありますが、前衛のマーメイドはSTRが低く、後衛のマーメイドは「バラバラに攻めろ」で攻めてくるため、問題ありません。
2ターン目、再びアッシュの攻撃。前衛はAGI差的に、攻撃を避けられることはないと思っていいです。
ライアンの2回目の雷遁は命中。当たらなくても構わないと思ってたんですが、仕事した。
ギルバルドの攻撃も無事命中し、これでアッシュ隊は任務完了です。
後は撤退してもいいし、前衛のマーメイドの反撃を受けて、戦闘終了を待ってもいいです。
ここで、ライアンの雷遁が外れていれば、ウォーレンとデネブに、INT補正最大の「神宿りの剣」を装備させようと思っていたのですが、ライアンが優秀だったので、このまま戦闘に臨みます。
2番手のウェンディ隊にバトンタッチ。
ウェンディのアイスレクイエムは、ポルキュスに対してはダメージが入りませんが、狙いは前衛のマーメイドを削ることなので、これでOK。
再びポルキュスのアイスストームを受けますが、アッシュ隊の時と同様、問題なし。
次は、AGIの高いアイーシャの番です。アッシュのダメージ量によってはここにも調整をかけますが、今回は装備なしのまま攻撃。
そしてデネブのライトニング。素晴らしい火力です。
ウォーレンが雷遁で追撃。ライアンとは威力が大違い。
ポルキュスのINT的に、命中率に若干の不安があるのですが、無事両方当たりました。これでほぼほぼ作戦成功です。
ランスロットがマーメイドを削ったら、完全に作戦終了。
タロット「ハーミット」で、前衛のマーメイドと共に、ポルキュスにへ止めを刺します。
ここで前衛のマーメイド2体を撃破するために、攻撃を分散させていたんですよね。せっかくの全体攻撃なので。
これで、パルミラ攻略完了です。
戦後処理
今回の戦闘で得られたドロップアイテムは、「腐ったカボチャ」と「トロイの木馬」でした。
「腐ったカボチャ」は、マッドハロウィンを生成するのに必要なアイテムですが、正直要らない。
「トロイの木馬」も、城壁を破壊できるマップ攻略用のアイテムですが、使える場所が後1回しかなく、しかもそのステージで難なく入手可能。
両方とも質入れ用になりますが、なんと双方の売却価格合わせても僅か55ゴート。小銭にしかならない。今回のドロップアイテムは大外れでした。
死神部隊にプリーストのアイーシャを入れていたおかげで、回復アイテムの消耗もなく、SHOPを解放する必要もないでしょう。
今回のマップには、埋もれた財宝はないです。
攻略後イベントはあるんですが、ちょっと今後に回そうかなと思ってるので、今、特にやることはなし。
ただ、何も無しだと味気ないので、マップ中央付近の隠れ都市トンガレバを解放しました。
戦後処理部隊は、ウェンディにカノープス、アイーシャ、ノルン、デネブです。ハーレムパーティ。
トンガレバを解放すると、カオスフレームの値によって台詞が変わるのですが、デネブ加入イベントのためカオスフレームをぐんと下げていたので、説教をかまされました。
リプレイでは、ポルキュスを殺したせいで神の祝福が得られないみたいなニュアンスになっていますが、実際はボーグナインのせいなんですけどね。
プレイ後記
カストラート海ステージのシナリオを考えた時に、「涙は世界で一番小さな海」というフレーズを思い出して、そこからサブタイトルを取っているのですが、今の感覚で涙と海がパッと繋がるか微妙だったので、エピローグ風に描写を足して若い人でもわかるようにしておきました。
人魚の身分については、ゼテギネア大陸の他地域で触れられることがないのでわかりませんが、オウガバトルサーガにおいて迫害される人魚というのは、外伝でも扱われるモチーフになっています。攻略では正直使いづらいので、残念ながらウェンディ軍は人間中心主義になります。
松野節とは言うものの、『伝説のオウガバトル』は続編の『タクティクスオウガ』なんかと比べると大らかな時代を描いているので、そこまで酷い話はなかったりするんですが、このカストラート海のシナリオは完全に救われない。助けられる展開にしても良かったんじゃないかな。
攻略自体はあっさりですが、どう受け止めるかが重要だと思ったので、リプレイは後半の方に重心を置いています。ポルキュスを斬らざるを得なかったことは、ウェンディにとって、トリスタンを求める意義、延いてはエンドラとの対決に関しても、影響を持ってくるんじゃないでしょうか。
意識していたわけじゃないんですが、前回リプレイで触れたヒーラーを用いた部隊での攻略になりました。死神作戦でヒーラー使うと便利すぎるので毎回じゃないと思いますが、今後も使うかもしれません。ランスロットの扱い若干困ってたんですが、負傷しがちキャラになるかも。
カストラート海では、マンゴーの話、そして最重要イベントの一つ「ブリュンヒルド」入手が残っているんですが、長くなったので後の展開に回します。特にブリュンヒルドは、武器としても超優秀かつ条件が容易なので、取らない選択肢は普通ないんですが、まあいいでしょう。
長くなりましたが、今回もここまで読んでいただき、ありがとうございました。
宜しければまた次回も、お付き合いください。