先に挙げようと思っていた実況見分式記事です。見ながら思ったことをつらつら書いていくので、ネタバレを回避したい方はブラウザバックを推奨します。
フリーザ来訪
帝王フリーザに服従を強いられるサイヤ人。原作の中で崩壊したフリーザ軍の勢揃いした姿を拝める。つまりナメック星で戦ったのは、コルド大王からフリーザが引き継いだ軍団だったわけで、戦闘種族とは言っても実は老朽化してガタが来てたのかもね。
ベジータ王の屈折
次がベジータとブロリーの保育カプセルを見るベジータ王。高いプライドを持ちながら臣従の苦渋に耐える中で、王としてのプライドが屈折し、同じサイヤ人のブロリーを排斥する。
原作の時間軸でも、当初サイヤ人の王子ベジータはフリーザへの服従を強いられており、かつて我々が見た関係性が父親の代から続く因縁という形で強化される。
また息子より強い存在を認められずに禍根を残したベジータ王は、自分を支配するフリーザを認められず、暴走して破滅する原作のベジータを思い起こさせる。
本作はシナリオを削って尺を元の半分にしたらしくて、そのおかげでダレないで最後まで見られて成功だと思うけど、保育カプセルに入ってるブロリーを見てベジータ王がキレるシーン、カプセルに入ってるのブロリーだけじゃないのよね。まあパラガス大佐っつってるから、他の子供達は将官クラスの子息で事前にカプセルに入れることを王は容認してたっていう推測が成り立たなくもない。
あと一瞬だけど、サイヤ人の女科学者が美人で、俺個人的にはチライよりこの娘の方が好きかも。鳥山明先生のすごいとこはこういう脇役の女の子が全員可愛い。
そしてベジータ王に疎まれ、復讐の鬼と化すパラガス。ここが『ブロリー』における必要最低限のドラマになってる。
『Z』では、サイヤ人は戦士しかいないホモソーシャルな描かれ方だったんだけど、『超』では非戦闘員もいてサイヤ人もちゃんと社会を構成してるんだなっていうのも嬉しい。
ブロリー追放
パラガスは今回多分、一般的なサイヤ人の典型として描かれている。天才の息子(自分の誇りを受け継ぐ存在)のために自分の命を顧みず飛び出して、協力関係にある内は部下のサイヤ人にも温情がある。ただし、自分にとって不利益と判断すれば容赦なく殺す。
もうちょっと詳しく見ていくと、小惑星バンパに着くまでは一見、息子を愛する父親のように見えるんだけど、自ら「信じられるサイヤ人など」と言う辺りから、サイヤ人の業の部分を見せていく。
ブロリーを発見して父親の声を出すんだけど、尻尾を掴んでジャケットを確認する様子は、子供というより完全に動物を扱う態度。パラガスがブロリーを愛するのは、天才のブロリーが自分の誇りであるからで、いわば自分の武器に対するような愛し方でしかない。そしてこれが、「サイヤ人の父親らし」い愛し方。
そして、付き添いのサイヤ人を躊躇いなく殺す。彼の行動原理はあくまで自己本位で、これが侵略対象と決めれば他の民族を滅ぼすことをなんとも思わないサイヤ人の価値観。地球に来た頃のベジータの価値観でもあって、サイヤ人という民族が共生を築き得ない、いずれ自滅する連中だっていう暗示にもなってる。
サイヤ人滅亡
最後にバーダックの話。
『ジャコ』の設定をベースにしたここ、ギネの声を聞いて、「髪型がアンタそっくり」って言葉で、嫁にもらう相手までアンタそっくりだよっていうのがもう感動。
「俺には死の予感がある」って言うのとか、『たったひとりの最終決戦』のバーダックに対するオマージュ入ってるし、最後の死闘もなかったことにはされてないところが、感謝。
さらに『たったひとりの~』のエピソードだと下級戦士のカカロットを毛嫌いしてるんだけど、『ブロリー』のバーダックはカカロットを愛していたから地球に送るんだよね。そこの再解釈なんかがもう、『超』をやる意義ってこういうことだよなっていう。
この時点でもう、俺の涙腺は最初のピーク。普通は逆な気がするけど、何度も見てる内に演出よりこのギネの「カカロット~‼」っていう台詞で涙出るようになっちゃった。多分この辺の匙加減が鳥山マジックだと思う。
あと「埃(誇り)が舞い上がる前に」って上手いこと言うフリーザ様。
バーダックって確かにこのサイヤ人滅亡においてヒーローなんだけど、それはサイヤ人の中でも特にカンが冴えて、反骨心が強いっていうだけなんだよね。『たったひとりの~』と比べるとカカロットへの扱いが変わって父親らしくはなってるんだけど、地球へ送ったのは地球人なら間違ってもカカロットが殺されることはないってだけで、カカロットが地球人殺すことは全然OKなわけ。『たったひとりの~』と比べると、むしろ同胞への仲間意識は下がってるとも言える。だからこの改変を以て、サイヤ人の業の部分が抹消されたっていうのは言えない。ヒーローのバーダックにおいてさえ、死ぬべくして死んだ敗者でしかない。
運命を予感するベジータ、ブロリーのカットを挟んだ上で、そっから一気に現代に時間が飛んで、そこもベタなんだけど今までの冒険が流れていくとこなんかすごくいい。
ブルマの別荘
現代に入って、悟空とベジータの組手。劇場で見るとここの迫力だけで、見て良かったと思える。今の悟空とベジータの組手なんだよ。
そこで『超』の新キャラ、ビルスとウイスに強さを求める理由を尋ねられて、悟空の答えは強え奴との闘い。悟空さは『超』になっても、本当変わんねえだな。
ベジータはフリーザの脅威をここで改めて持ち出してくる。一度殺されてるから当然っちゃ当然なんだけど、現時点ではベジータとほぼ同等なはず。なのにそこまで拘る理由って何なのかって考えた時に、『ブロリー』の直前にあった『超』の「力の大会」で実はラスト、悟空とフリーザの共闘で強敵を降してて、その時ベジータは既に脱落してる。ベジータは悟空のライバルポジションをフリーザに取られかけてるんよね。
メタ的な目線入るけど、自分のポジションだった悟空の隣を脅かすフリーザに嫉妬心燃やしてるって考えたら、ベジータマジ萌える。そんなベジータの気も知らないでフリーザのことを受け入れてやれよなんて言っちゃう悟空に苛立ちを隠しきれないで痴話ゲンカに発展するとこなんかも、完全にツンデレヒロインキャラ。可愛すぎかベジータ。
そうこうしてるとドラゴンボールが盗まれたと。悟天、トランクスの私服やピラフ一味がちゃんと描かれてるのも『超』要素。「セキュリティが~」って言ってるベジータも完全に嫁を叱る夫。犯人がフリーザってわかった時のブルマ、ベジータ、悟空のアイコンタクトがまた可愛い。ビルスがブラの子守りを任されてる様子とかは、これがドラゴンボールなんよなっていう。
旧劇場作でも度々用いられてるけど、やっぱドラゴンボールを探すとこから始まったんだよ、『ドラゴンボール』は。このブルマをからかってる悟空を見るベジータの表情はどういう意味なんだろ。
ブルマと対比されてフリーザも滑稽な王様感。それぞれの形態での身長比較の画挟んでくるの、劇場でも笑い声起きてた。こういうしょうもなさが復活してるのが『超』。
ブロリー登場
チライとレモのキャラクターを見せると、テーマ曲と共にいよいよ本作の主役、大人ブロリー登場。これがすごく格好いい。これまで病人みたいな様子や完全に化け物みたいにしか描かれてこなかったブロリーが、格好いいっていうのにもう感動。
本作は目元と口元のクローズアップが度々使われてるけど、ドラマチックに使われてるのはこのチライのシーン。ブロリーを見るチライの目っていうのが完全にヒーローを見る目なんよね。これはいわゆる恋ではないと思う。チビッ子達と同じように、単純に強さに対する憧れじゃないかな。
そっから打ち解ける、というか餌付けされるブロリー。サンキューってハンドサインができない可愛さアピール。この辺の島田敏氏の演技もあどけなさがあって、サイヤ人とは言え、とても中年には見えない。
フリーザとブロリーの対面後、パラガスとブロリーの猛獣使いとその猛獣のような父子関係が1シーンで描写され、最初は金目当てだったチライとレモのブロリーへの同情と反パラガス感情が徐々に描かれる。
フリーザはパラガスの復讐心を利用する悪の帝王ぶりを見せつつ、物理的にブロリーをパラガスから解放したチライ達に宝物の話をするブロリー。ここが『Z』の化け物ぶりを知ってると、ブロリーから人間性が見られるってことに「いっぱい喋ったね」ってまた涙腺が。
お菓子だか宇宙食だかをパクついてるブロリー。空き袋の量はさすがサイヤ人。ベジータが口いっぱいに食べ物頬張ってるのとか、サイヤ人の食欲描かれるの好き。
水を初めて飲むっていう繊細なシチュエーションは、今までのドラゴンボールにはない、いいシーン。ブロリーの育った環境がいかに特殊で過酷だったのかっていうのを示す上で、子供にもわかるシンプルさで、絶対的な境界を引いてるのよね。
目は口ほどにものを言う。っていうけど、日本人は目で、西洋人は口元で表情を読むらしい。目と口っていうのは、顔の中でも最も感情を表すパーツ。これらでバンと感情を表現するのは、真水が1番旨いっていうシンプルさで、『ドラゴンボール』にすごく合ってる。
揃ったドラゴンボール
7つ目のドラゴンボールが見つかって、いよいよ戦いが始まる予感。谷底へ落ちるドラゴンボールは、アラレちゃんの出てくる『摩訶不思議大冒険』を思い出す。落ちたドラゴンボールよく回収できたな。
そこにコート姿の悟空達。コート着るのは原作軸だと人造人間8号の時以来かな。予告ではこのコート姿で新しいことやる気なんやなってワクワクした。
悟空達の出現に慌てる回収班。本当こういう無力な人達からしたら、悟空達は化け物だからな。飛行機で逃げるのに余裕で撃墜されるし。悟空があんな感じで迫ってきたら、殺されると思うのも無理ない。
万事休すかと思うも、一瞬遅れでフリーザ到着。一瞬で空を覆ってた雲を吹き飛ばす。フリーザのヤバさと、ドラマが終わってアクションが始まるっていう空間演出と、この作品のパワー表現としてのリアリティラインの設定と、単純にインパクトあるこのシーンだけど、十分この映画の名シーンに挙げていい。ヤクザの整列みたいな感じで威厳を示しながらご登場。ただもう、悟空達の関心はブロリーの方に向かってる
ここでブロリーの覇気を受ける悟空とベジータ。この覇気を飛ばす演出はおそらくドラゴンボールでは初めてだと思う。こういう新しい演出がいくつもあるのが『ブロリー』だった。ベジータ王の面影を残すベジータの覇気に、今度はパラガスが気圧される。
相手がサイヤ人だと気付いたベジータとフリーザのやり取りに緊張感を高めながら、一旦悟空のボケで緩和。フリーザが代弁して、パラガスがベジータに因縁つけてるんだけど、悟空にはそういうの通用しないんよな。ただパラガスの言葉に反応して興奮が抑えられないブロリーが解き放たれて戦闘開始。
氷山地帯で戦うのは13号と戦った『極限バトル‼三大超サイヤ人』を彷彿とさせる。ちょうど三人の超サイヤ人の戦いだし。
ROUND1 ベジータvsブロリー
パラガスに復讐心を叩き込まれたブロリーは、迷わずベジータに突進。この時よく見ると、突っ込んできたブロリーに一応悟空も構えてる。片足で受け止めるとこは、魔人ブウ編のベジットの「てめえなんざ足だけで十分だ」み。まずは通常状態で様子を見るベジータだったけど、押し込まれて「ようやく体が温まってきたぜぇッ‼」
甘く見ていたブロリーが自分のスピードについてこれるのを見て、「戦いながら学習してやがる」。ベジータの周囲を気が纏い、「鬱陶しいヤツめッ‼」。気合いを込めるベジータの眉と髪が緑色に発光し、気合いを爆発させ、遂に金色の戦士超サイヤ人化。ベジータ本気モード。ここでビビるパラガスにドヤ顔で説明するフリーザ。
しかし、「成長のスピードが早い‼」「そのまま対応し始めたぞッ‼」、ブロリーの成長速度に、超サイヤ人になっても優位を取れないベジータ。
そして遂に『超』で到達した超サイヤ人神へ。ブロリーの攻撃を全て見切り、お父さんのの宿願を打ち砕くベジータの拳。うなだれるパラガス。
ブロリーが初登場した『燃えつきろ‼熱戦・烈戦・超激戦』を知ってると、ここも涙。
あの時のベジータは、フリーザ戦のオマージュでブロリーの圧倒的な戦闘力に戦意喪失して泣き出すっていう醜態を晒してた。それがブロリー相手に互角以上に戦って見せ、新たに到達した超サイヤ人神で圧倒する。ブロリーとの戦いでカッコイイベジータが見れるなんて、ファンからしたらあの時の雪辱を晴らしてくれた気分。
怒りブロリーの逆襲
でもここで、ブロリーの様子が。暴走しかかったブロリーを見て「くだらん」と放ったベジータのとどめの一撃で完全に正気を失ったブロリーは、「大猿の力を」「引き出した」状態に。緑色のオーラを纏い、瞳が金色に変わる。あとサイズもデカくなってて、ブロリーを縛ってた枷の象徴である首輪がパチンって弾ける音が入ってる。
ここでパラガスが「ブロリーに殺される」って心底動揺するのが、『燃えつきろ~』におけるベジータの役割ってことかもしれん。『燃えつきろ~』の時よりパラガスの愚かしさが強調されてる。
悟空が「あんなサイヤ人見たことあっか⁉」って言ってたけど、多分あれ悟空が『超サイヤ人だ孫悟空』で見せた疑似超サイヤ人だと思う。まあ『超』の世界線では疑似超サイヤ人なってないわけだから、正しい反応なんだけど。
ベジータはベジータで素直に仙豆に頼ろうとするとこも可愛いポイント。自信過剰なサイヤ人を超えた神としての判断なのかも。
通常状態で超サイヤ人のベジータと渡り合ったブロリーだから、疑似超サイヤ人でもその戦闘力はおそろしく跳ね上がって、いきなり地球が破壊されるレベルのエネルギーぶっ放す。この使徒が死んだ時の爆発みたいな表現もドラゴンボールでは初出。
地球ごと壊しかねない威力を見たベジータがブロリーに飛び込んでいくも、疑似超サイヤ人化したブロリーの耐久力は、神の攻撃をも受け止めるほど。ブロリーが超サイヤ人神のベジータを上回ったのを見て、コートを脱ぎ捨てた悟空「そろそろオラとやろうぜ」。
ベジータはまだ超サイヤ人ブルーを出してなくて、これがどういう意図だったのかちょっと気になる。単純に自分も闘いたくなったんだろうけど、超サイヤ人ブルーになっても勝てなかった時にベジータが受ける精神的ショックを回避するためだったのか。もしかしたら荒ぶる神ブルーになってブロリーとの殺し合いになってしまうことを危惧して、自分が出ていってブロリーを正気に戻そうとしたか。最後のだといいな。
ROUND2 カカロットvsブロリー
ピョンピョン跳んで構えた悟空の感じがもう今までに見たことある悟空じゃないんだよ。膨らんだ期待の中聞こえる今作の目玉、「カカロット‼」「ブロリー‼」、そして「go! ブロリー go! go!」。ドラゴンボールにまだまだこんな表現を開拓する余地があったことに感動。2回目以降はこれが聞きたくて劇場行ってたところある。視点もブロリーになって、悟空を追いかける。
ここでも感動するのが、今までのアニメだったらベジータが超サイヤ人神で闘ってたんだから、悟空も超サイヤ人神以降の状態で参戦してたはずなんだけど、『ブロリー』はまず通常状態からのスタートで、それでいい勝負をするんよね。
まあサイヤンパワーを爆発させたブロリーを見て、すぐに悟空も超サイヤ人化するんだけど。『ブロリー』は戦いを段階的に見せるってことを本当に丁寧にやってくれた。相手を潰すことが目的じゃない、自分の限界を究めるために闘う悟空の戦いっていうのを完璧に表現してるんよこれ。だから変身してブーストをかける前に一旦限界までやってみる。
音楽が終わる頃、超サイヤ人神になった悟空は、金縛りでブロリーの動きを封じて対話を図ろうとする。
ここの悟空の「色々あったんだ」はマジでシビれる。まず、これを言うのが神の領域にある超サイヤ人神状態ってこと。平和に暮らしてるオラ達っていうのはサイヤ人の自分とベジータのことかも。フラッシュバックのようなキレを持った形で、感傷的な見せ方をしてない感じが悟空らしさもあって本当にカッコいい。さらに『無印』『Z』の激闘があって、『超』を生きてるんだってことを、『ブロリー』で出てきたブロリーに言って聞かせるっていう構図がもう、『ドラゴンボール』という世界観が『超』の存在意義を許容してる図式みたいで素敵すぎる。
ただまあ、ここで止まらない。最強であって最凶なのがブロリーだから。しかも金縛りを跳ね返したときにまたデカくなって、ますます怪獣みが増してる。
チライの目のアップがあって、こんなに凄かったんだ、でもありゃまともじゃないっていうやりとり。強さへの憧れから始まったチライのブロリーを見る瞳が、畏怖に変わっていくっていう見せ方。
穏やかに説得しようと試みるも失敗。暴走するブロリーが金縛りを逆に跳ね返して、悟空を殴り付ける。踏ん張った悟空がその力でブルマをぶん投げると、地面が揺れてブルマを庇うベジータ。でも最終的には悟空の攻撃も通じなくなって、ボコボコに。
ここで気配を察するピッコロの挿入。
ピッコロがいつもいる気がする崖の上。あそこ好きだよねピッコロ。
瞬間移動先のポータルの役割をお願い。
「じゃあな」でピッコロとの通信を終了。今作は悟空の一言一言の台詞もカッコいい。
道着のアウター部分を引きちぎって、気を高める悟空。緑色の気が全身から発されて、身勝手の極みに通ずる忘我の状態を一瞬見せると、浅葱色のオーラに包まれて、顔つきも変わる。超サイヤ人ブルーへ。
ROUND3 限界ギリギリバトル
正直この辺からもう目は追い付いてないんだけど、それでいいのよ。だってサイヤ人の限界を超えて神の領域にまで踏み込んだサイヤ人のさらに限界を超えてるんだから。
地面が割れて溶岩の中で戦うのは、『危険なふたり!超戦士はねむれない』で、溶岩に落ちてもブロリーは死なないシーンがあったからかな。長峯監督がマグマ好きらしいけど。
ブロリーの放つエネルギー波の衝撃波で吹き飛ぶパラガス。サタンか。こうやって復讐に狂った男っていうエグくなりそうな設定から、悲劇的要素を薄めていく。「カコクってなんだ?」と同じ構造。
「ベジータ王の言ってたことは正しかったのか」とか言っちゃう感じが、自滅する悪役のそれで、ああもうダメだなこの人ってなる。
ブルーと互角に戦ってるのは十分すごいんだけど、ブロリーのパワーアップも頭打ち感が出てくる。それを見たフリーザ様が奸計。クリリンを殺されてキレた悟空を思い出し、ブロリー唯一の仲間パラガスを殺してみる。「殺されてしまいました‼」だって。ビームで貫かれる惨めな死に方は、原作のベジータを殺したとこに似てるかも。パラガスは最後までサイヤ人を滅ぼしたのがフリーザだって知らないまま死んだ。断末魔なんかもない。
金色の野獣じみた目が真紅に染まり、ついに瞳が消失。フリーザの狙い通り、ブロリーは超サイヤ人への変身を果たす。「やった‼。成功だ‼」って無邪気に喜んでるフリーザ様可愛い。
超サイヤ人になったブロリーはもう、超サイヤ人ブルーの悟空でも捌ききれない。
フリーザも、悟空を圧倒するブロリーに「私の出る幕はありませんね」とか言っちゃってるけど、孫悟空を倒すことに拘ってたフリーザ様どこ行っちゃったんや。これもシナリオ削った弊害かもしれんけど解釈するなら、元々ブロリーはベジータ王への復讐に燃えるパラガスの道具だったわけだけど、パラガスを殺した今、ブロリーはフリーザの道具になった。だから、ここでブロリーが悟空を倒せば、現時点でブロリーを道具として利用している自分が倒したも同然、みたいなことかな。
追い詰められていく中で、「見ていられるか‼」って愛しのブルマを放って飛び出していくベジータ。お前やっぱカカロット一筋やんか。
「一対一に拘っている場合か」って台詞がベジータの側から飛び出すのもいいんだけど、そっから「ギャリック砲」「かめはめ波」のファン垂涎コラボ。ありがとう。ありがとう公式。
それでも止まらないブロリーと、飛び交いながらの空中戦で気付いたらフリーザの目の前。
「わたしはフリーザですよ~」って言うフリーザ様あわれ。完全にブロリーのエイムがロックオン。
INTERVAL フリーザvsブロリー
「今だ」って瞬間移動でピッコロの元へ。悟空に握られた手元をめっちゃ気にするベジータ。散々組手してるくせに乙女すぎやろ。まあ確かに意中の相手が半裸で自分を掴んできたら、動揺するのもわからんではないけど。
そして出た「フュージョンって知ってっか」。
「こんな、こーんな」ってベジータの忌避感は完全にポージングの方に行っていて、「合体はいいとして」って、悟空と一つになること自体はもう慣れちゃってる感じが『超』らしくていい。
ゴジータの初出は『復活のフュージョン‼悟空とベジータ』なんだけど、当時はポタラ合体経験前の設定のため、「貴様と融合するくらいなら俺は死を選ぶ」っていうプライドの高さを見せる。
この作品は地獄での戦いで、時系列的には魔人ブウ編の辺り。魔人ブウ編のベジータっていうのは、プライドを失いつつある自分を受け入れたくなくて、エゴのために周囲の人間を殺してみせて、プライドを捨てるより地獄に落ちることを選んだ男。だからフュージョンを決意するのもプライドと折り合いを付けるって形で、ラストシーンでは実体が消え去って地獄に戻っていく。
でも魔人ブウ編でのポタラ合体では、家族のために合体を決意する。この時点で悪の論理と訣別して、人間の倫理で行動するキャラクターになったのよね。『超』のベジータっていうのはその延長なわけで、だから今回も「愛しのブルマ」のためなら融合は厭わない。
ただ、悟空とピッコロによるフュージョンの指南を受けて、改めて恥ずかしさに顔を赤らめる。やっぱ乙女この人。
いよいよ実践に入るけど、お約束の失敗。ここで光を受けるピッコロ、「CHA-LA HEAD-CHA-LA」の1シーンみたい。『復活の~』で出来損ないのゴジータとかベクウとか呼ばれる形態。
再チャレンジするも、また失敗。ピッコロの角度が違うって指摘で、数値が出てくる演出細かくて笑う。
この一連の失敗シークエンスは、ピッコロに指導されるとこも含めて、魔人ブウ編でのゴテンクス失敗の流れをまんまなぞってる。さすが親子。
その間、ブロリーの相手をさせられるフリーザ。めっちゃ蹴り入れられてるとことか、笑っちゃうからすげえ。ゴールデンフリーザになったとことか一瞬アガるんだけど、やっぱりボコられてフリーザ様の悲鳴が響き渡る。個人的に魔人ブウ編で悟空のために時間稼ぎするベジータの、「早くしろ。こ 殺される!」が好きなんだけど、それみがある。この辺が『超』の愛されキャラのフリーザ様。
LAST ROUND ゴジータvsブロリー
そして待ってました、ゴジータ完成。名前考えてピッコロに急かされるとこなんかも、ゴテンクスと同じ。
度重なる暴行を受けて虫の息になってるはずなのに、ここに来てなお自分を上回るブロリーの戦闘力に喜びを隠しきれないフリーザ様。さすが悪の帝王。
瞬間移動して瀕死のフリーザの前へ。ゴジータからフュージョンの話を聞いたフリーザが思わず漏らす「卑怯なッ‼」。わかる。わかるけどゴジータの返す「お前がそれを言うか」ってのが、俺らの正直な感想。可愛いわフリーザ様。
ゴジータとフリーザが茶番を繰り広げてる間のブロリーの相手は、ウイスさんが担当。わかっちゃいたけど、ブロリー相手でもこの人底がしれないん。フュージョンのことも一瞬で見抜いたし。
そしていよいよゴング開始。
「go! ブロリー」を呑み込むように「ゴジータ‼ゴジータ‼」。こっからは圧倒的ゴジータのターン。大幅パワーアップは伊達じゃない。
肉弾戦のアクションからも、溢れ出してるエネルギーがハンパじゃない感じ。超スピード戦闘に入って食らい付いてくるブロリーに、超サイヤ人化。ゴテンクスの死ね死ね連続ミサイルを思わせる光弾の土砂降りをブロリーに浴びせるゴジータ。画面から放たれるエネルギー量が圧倒的すぎて、気付いたらここでも涙流してた。
怪物同士の戦闘に周りの空間の方が耐えられなくなり崩壊していく。
ブロリーの方も、過去作で見せた超サイヤ人フルパワー状態に。まだ止まらないブロリーに、ゴジータは超サイヤ人ブルーへ。空間の崩壊も行くところまで行ってついに次元も超越。人間の認知を超えた世界の中で、互いのパワーをぶつけ合う両者。
ようやく元の次元に戻ってきた時には、戦いの趨勢が見え始める。ブロリーの攻撃は通用しない。勝てないとわかっても、ブロリーには自分を止めることができなくなってる。
戦いが命の取り合いの域に入ったことを察したチライ達は、このままじゃブロリーが殺されると思い、動き出す。
追い詰められて、怪獣のように暴れ回るブロリーに、『復活のフュージョン』でジャネンバを仕留めた両の手から放つ光弾と虹色に輝くエネルギー弾。
一方で、ドラゴンボールを使って神龍を呼び出すチライ達。強さへの憧憬から畏怖、そして救ってあげたいっていうチライの心理の変化を、目元の表情で演出してる。条件反射で動いているように見える行動が、ここでキャラクターのストーリーに仕立てられる。
気を高めたゴジータの鉄拳、そして腹パンがブロリーに突き刺さる。『燃えつきろ~』の時のブロリーは、腹パンでやられてる。交錯させて突き上げた両腕を開くと、上空まで巨大な光の柱が吹き上がる。
もはや死を予感し、怯えるブロリー。ゴジータはとどめのかめはめ波を用意。最強のかめはめ波がブロリーの命を消し飛ばすと思われた間一髪、チライがブロリーを故郷バンパに転移させ、決着はお預け。ゴジータは嬉しそう。
脱出するチライとレモを始末しようとしたフリーザと、それを阻止するゴジータ。フリーザは今日のところはってやつで、地球を後に。
物語は続いてく
ラスト、フリーザは相変わらず侵略行為をやめてない。チライとレモは、フリーザ軍を抜けてブロリーと一緒に暮らすことに。
バンパにやってくる悟空。ブロリーを守ろうとするチライとレモを制し、物資を渡す。また来るからと言い残し、最後に名前を名乗る。孫悟空、またの名をカカロット。