ウェンディ、ゼンダに立つ 『伝説のオウガバトル』攻略日誌 その3

 

 本稿の概要に関しては、こちらをご覧ください。

前回はこちら
 では、本文をどうぞ。 

 

第1部 シャローム蜂起編

ステージ3 折れた翼の行方

 旧ゼノビア王国の東部一帯の地域を、古来よりこの地を治めてきた暁を意味する王国の名から、シャロームと言う。

 ゼノビア王朝を興したロシュフォル王子、そして王子の跡を継いだ神王グランは、元はここシャロームの王子とその騎士であった。

 そうした背景から、旧ゼノビア王国時代を通じてシャロームの統治には特別な配慮があり、シャロームは王国領の一部でありながら、同地区出身者による自治が認められた地域でもあった。

「次も、ゾングルダークのように上手くいくといいけど」

 ウーサーが支配していた南端の拠点、ラワピンジへ向けて行軍する道中、ウェンディが漏らす。

 飄々とした態度が代名詞のウォーレンは、いつになく険しい顔である。

「シャローム一帯を治める天空のギルバルドは、元ゼノビア王国魔獣軍団長にまで任ぜられた剛の者です。容易にはいかないかもしれません」

ゼノビア王国の魔獣軍団長が、帝国に従っているの?」

「シャロームは特殊な地で、ゼノビア王国領内でありながら、シャロームの民として振る舞うことが許されていたのです。ゼノビアとハイランドとの戦争に際し、領主であるギルバルドは沈黙を貫き、帝国に臣従することで王国滅亡後も領地の安堵を許されました」

「王国戦士団だったくせに、我が身可愛さに帝国に尻尾振った犬だよ、ギルバルドの奴は」

 ことさら声を荒げるマルコムは、元王国魔獣軍団だったと聞かさていた。かつての指揮官と矛を交えねばならない状況に、他の者には窺い知れない心中があるのだろう。あるいは、マルコム自身でさえ整理できないような。

f:id:boss01074:20200608204626j:image

 シャロームペシャワールの城。

 暗く、塞いだ顔の男に、一人の兵士が歩み寄る。

「ゾングルダークを攻略した反乱軍が、ラワピンジへ向け進軍中。ウーサーが強引に奪っていったとは言え、あの城は元々、我等シャロームのもの。幸い、我等の方が近い今なら、先手を打てます。出撃のご指示を」

「放っておけ」

「しかし、ギルバルド様――」

「よいと言っている!」

 ギルバルドと呼ばれた男は、皺の刻まれた顔をより一層不機嫌にして、奥の間へ引き籠った。

 後に残された兵士は、自分ではどうすることもできず、一人その場に立ち尽くしていた。

 

 ラワピンジを手に入れたウェンディ軍は、東西二つの街道に沿って、二方面から南進する。

f:id:boss01074:20200608220436j:image

 東の街道をとったウェンディは、ある都市を目にして立ち止まる。

「なんだかあの都市からは、加護とは違った力を感じるみたいだけど」

「あれは、魔術師が治める魔法都市です。魔術師は情報を持っている場合があるので、寄ってみましょう」

 魔法都市レニナカンを解放すると、この地を治める魔術師は自らウェンディに会いに来た。

「私達は、貴殿方を歓迎します。魔力が籠められた秘宝『ムーンローズ』をお渡ししましょう。魔法使いにとっては非常に価値あるものですから、折りを見てお売りになるとよいでしょう」

 レニナカンを後にしたウェンディ隊は、西街道を南下してきたシルフィード隊、レイノルズ隊、エーニャ隊と合流する。

「ひとまず、正面から当たるのは避けて、情報を集めてみましょう。何か、攻略の糸口が見つかるかもしれません」

 ウォーレンの提案で、ウェンディ軍は部隊を散開して情報収集にあたることに。

「何か手掛かりを得たら、交通の要衝、貿易都市チャンジガルへ集合することにしましょう」

f:id:boss01074:20200608220457j:image

 ウェンディ自身は、チャンジガルで情報を集める。

 チャンジガルを解放すると、都市の代表はウェンディに語った。

「ギルバルド殿は、あの神王グランが認めた戦士。彼ほどの男が、保身のためなんかで帝国の手先に身を窶すとは思えません。王国魔獣軍時代、彼の傍にはいつも、『風使い』の異名をとる戦士が控えていました。彼なら、理由を知っているかもしれません」

 他部隊の到着を待って、ウェンディは情報を共有する。

 ウェンディの話に、元魔獣軍団のマルコムが反応した。

「『風使いカノープス』か。確かに奴は、ギルバルドの腹心だった。そう言えば、帝国に付いたって話は聞かないな。王国滅亡以来、奴の消息はわからないままだ」

「風使いの噂なら聞いたぞ。ここから浮島を渡った先にある、バハーワルプルにいるらしい」

 シルフィードは風使いの情報を得ていた。

「情報は得られなかったけど、私はこれを見つけた」

 エーニャは「ベルオブコールド」を拾得していた。

「それじゃあ、次の目標はバハーワルプルね」

「海を渡るので、グリフォンのいる我々で行きましょう。レイノルズ隊はチャンジガルに駐留。シルフィード隊は引き続き情報収集に努め、エーニャ隊はペシャワールの監視をお願いします。特に、激戦が予想されるレイノルズ隊は、万全の装備で臨んでください」

 ウォーレンが細かな動きを指示すると、グリフォンのネッソスに乗って、ウェンディはペシャワールの北方にある城塞都市バハーワルプルへ飛んだ。

 

 バハーワルプルを解放し、城主に話を聞く。

カノープス殿は、確かにこの地にお出でですが…」

 城主は何やら渋っている。

「話を聞きたいだけなの。協力してもらえないかしら」

 気が進まない様子の城主を押して、カノープスの元へ案内させる。

 気難しそうな表情をした有翼人が、窓枠に腰掛けて自分の部屋から外を眺めていた。

 彼が風使いカノープスカノープスは、こちらの方を見もせずに言い放った。

f:id:boss01074:20200608205443j:image

「お前等が噂の反乱軍か。所詮、相手を殺すことしか頭にない連中だろ、血に飢えた野蛮人共。お前達と話すことはない。帰れ」

 カノープスはどうやら、ウェンディ達に好意的ではないらしい。

「私達は、何も人殺しが目的で戦ってるわけじゃないわ」

「じゃあ何だ。お前、お前は何のために戦っている?」

 振り向いたカノープスは、いかにも騎士然としたランスロットを問い詰めた。

「私は、王陛下から戴いた剣に恥じぬよう、この剣の名誉に懸けて戦っている」

 腰の剣に手を置き、ランスロットは堂々と言い返す。

「名誉をかなぐり捨てて、民を守った男を俺は知っている。自分を臆病者と蔑む人々を守ることが、名誉に命を懸けるお前にできるか? 名誉なぞは、己一個のことしか考えていない奴が言うものだ!」

 今度は、思慮深そうなウォーレンの方を見るカノープス

「お前には、戦う理由があるのか?」

「自由のため、でしょうか」

 あご髭を触りながら、ウォーレンは穏和に返した。

「支配されるのが嫌か。だが支配者がいなくなればどうなる? 人間は欲望を己の主人とするのだ。他人が欲望に近付くことを妬み、自らこそ欲望の忠実な下僕たらんとする。そうなれば、百年前、各々が力を求めて争った、大陸擾乱の時代に逆戻りだ。理想を騙るのは止めて、歴史が示す現実を見ろ」

 およそ百年前、このゼテギネア大陸は統べる者のいない混沌の大地となり、あらゆる人々が互いに争って多くの血を流す、大陸擾乱と呼ばれる時代が長く続いていた。

「欲望を否定する気はない。自身の幸福を願って、何か悪いことがある。だが皆が個々別々の欲望に従えば、力だけが道理の世が来る。それがお前の求める自由か? 身分は欲望に形式を与える。目に見える幸福は、人々の欲望にあるべき位置を定めさせる。支配者がいるからこそ、欲望は暴走することなく、争いは避けられるのだ!」

 最後に、カノープスはまだうら若きウェンディを見る。

「聞かせてみろ。お前の戦う理由を」

 何を言っても、この悲観的な有翼人は否定してしまうだろう。

 いや、そうではない。真に戦いが肯定されるべき理由など、この世には存在しないのだ。その真実を、カノープスは述べているにすぎない。それでも、

「私は、正義を信じてる」

 弱きを踏み躙る帝国の圧政は、見過ごしておけない。神の教えを蔑ろにし、力で人々を支配する暗黒道を野放しにはできない。

 なにより、私自身、戦うことを選んだのだ。大海にぽつんと浮かんだ、世界から忘れられたちっぽけな孤島サージェムで、ウェンディの意志が確かにここにあるのだと。

 今、はっきりとわかった。私は、私の存在を証したかったのだ。

 全ての人が救われる、絶対的な正義があるわけじゃない。正しさは、私の中にあるものでしかない。

 それでも、義心に燃える魂の炎が、私に剣を取らせたのだ。私が生きる明日を、この世界に見つけるために。世界を照らす明日がきっとあると、信じて生きていくために。

 そして、無辜の声を押し潰す帝国がある限り、その暁は訪れない。

「私の生きる道を照らす光。それを求めて、私は戦う」

 ウェンディは、カノープスの瞳をしかと見つめ返した。

「フッ、正義? お前等は正義の名の下に、今まで何人殺してきた。大体、正義なんてのは、ただのガキの戯言だ」

 嘲るように口にするカノープス

「俺の種族には、こんな話がある。遠い昔、燃える水が戦争に利用されるのを恐れた人々は、自分達の中で最も誠実な者に燃える水を託し、厳重に管理させた。しかし、力を求めた一団が、守護者の一族を滅ぼし、燃える水を奪った。結果、燃える水は、多くの人々を焼き殺す戦争の道具になった。だが、いいか? これは燃える水を守りきれなかった悲劇なんかじゃない。燃える水を解放した、英雄の話として伝わっているんだ」

 カノープスは、立ち上がってウェンディと向かい合った。

「俺達有翼人は、貴様等、地を這う人間よりずっと長い時を生きる。その寿命で、多くの歴史を見てきたからわかる。信じられる正義なんて、ありやしない。正義の在処はいくらでも変わるが、正義を語る資格があるのは勝った側だけだ。つまり、力こそ正義なのだ!」

 そこまで言い切ると、カノープスは腰を下ろした。

「まあいい、俺は既に戦いを辞めた身だ。大陸を帝国が支配しようと、お前等反乱軍が支配しようと、俺には関係ない」

 今のところは、取り付く島もないようだ。

 ウェンディ達は、ひとまずバハーワルプルを後にした。

 

「とんだ偏屈ジジイだな」

 戻ってきたウェンディ達から話を聞いたレイノルズは、散々嫌みをくれたカノープスという男に呆れていた。

 見た目は若い有翼人のカノープスだが、世を拗ねた態度はまさに、孤独な老人のそれだ。

「王国魔獣軍に居た頃の奴とは、別人のようだな」

 マルコムも渋い顔を見せる。

「しかし彼の言葉、どうも我等ではなく、自分を納得させるためだったような」

 ランスロットは、帝国の目を逃れて13年間地下生活を続けてきた。長い潜伏生活の中で、心が折れかけたことも一度や二度じゃないだろう。そんな彼には、カノープスの言葉に思うところがあったらしい。

「確かに彼の言動は、はい論破奴~wそのものでしたな」

「なんじゃそりゃ」

「それに、彼、私達がギルバルドと戦うのを止めたがってたみたい」

 そこへ、シルフィード隊が情報を持ち帰ってきた。

ペシャワールの西に隠し教会があるらしいんだが、そこにカノープスの妹ユーリアがいるらしい」

「ふむ。妹なら、カノープスが戦いを疎む理由を何か知っているかもしれませんな」

 ウェンディ達は、再びネッソスの背に乗り、ペシャワール西方に位置する隠し教会を目指す。

 

f:id:boss01074:20200608205603j:image

  人はなぜ戦うの

  いがみ合い、憎み合うの

  平和のために握った剣は

  いつになったら手放されるの

 教会を発見したウェンディ達の耳に、心地よい、けれど胸一杯に哀しみが広がる歌声が聴こえてきた。

 歌声の主は、まだ可憐と言っていい有翼人の少女だった。

「貴女、もしかしてユーリア?」

 声を掛けられた少女、ユーリアは、ウェンディの方を向いた。

f:id:boss01074:20200608205514j:image

「はい。貴殿方は、兄カノープスのことでいらっしゃったのですね。昔の兄は、我の強いところはあっても、熱血漢で周りから慕われる人でした。お話ししましょう。なぜ兄が、あのような情けない姿になってしまったかを」

 ユーリアは、その美しく、繊細な声で、とある男達の訣別を詠い始めた。

 

 あの日。ギルバルド様のお部屋に行った日。私は見ていた。兄とギルバルド様が、諍うのを。

「ハイランド軍は、もうすぐ王都のゼノビアまで迫るぞ。なあ、俺達も出兵しよう。今ここで立たないで、いつ剣を取る」

 ギルバルド様に、兄が詰め寄る。鈍く光るあご髭の前、赤い頭髪が揺れ動く。

「ハイランドは強大だ。おそらく、ゼノビアも遠からず落ちるだろう。ハイランドに歯向かったところで、勝ち目はない」

 ギルバルド様は低く、重々しい口調。きっとお心はもう、固くお決めになって。

「だから何だ。俺達は、誇り高きゼノビア王国魔獣軍だろう? 王国の危機に際して、敵が強いからといって逃げ出すのか?」

 両翼を広げて、問い質す兄。親友の言葉が信じられない。

「ハイランドから、ゼノビアを裏切るよう、通達があった。彼等の意向に従えば、見返りにシャロームの地は安堵してくれるそうだ。俺は、ハイランドの要求を受け容れようと思う」

 髭の奥から告げられる言葉に、赤い髪はかき乱れる。

「ハイランドの侵略に屈するのか? 我等を取り立ててくれたグラン王の暗殺だって、裏でハイランドが糸を引いてたって話だ。生き残りたいがために、お前はグラン王の恩寵を裏切って、そんな非道の奴等の言いなりになろうってのか!」

「我等は、ゼノビア国民である前に、シャロームの民だ。シャロームが第一に助かる道を考えて、何も悪いことはないのだ」

 貯えられた鈍色の髭は、ギルバルド様のお心を隠す。

「強い者が下の者を支配するのは、世の道理だ。今はハイランドが最も強い。なれば、ハイランドの統治に従うのが、民を預かるものの努めなのだ。民を思えば、裏切り者の謗りなどなんてことはない」

 尚も兄は食い下がる。

「侵略によって国を成さんとする王が、下の者を慮るはずがない。ハイランドのような国に従えば、遅かれ早かれシャロームは潰されることになるぞ」

「だが、逆らえば今、潰される。50年、いやその半分でも、シャロームの平和が保たれるのなら、俺はその道を選ぶつもりだ」

「お前に正義はないのか」

 あご髭の下、襟元を掴んで、最後は懇願するような兄の問い掛け。心なしか、赤い色も鈍くなったよう。ギルバルド様は俯き、黙したまま。

 無反応を貫くギルバルド様に、兄は遂に手を放す。

 そのまま出ていきかけるも、扉の前で振り返ると、

「俺はこの先、一生後悔し続けるだろう。今日のことをじゃない。こんな腰抜けのために、戦士の誓いを立てた、あの日をだ!」

 言い終わるや否や、扉を蹴り開ける。反動で、頭の羽根飾りが落ちる。そのまま、兄は飛び去って。

「ギルバルド様」

 私は堪らず、ギルバルド様の元へ駆け寄る。

「ユーリア」

 一瞬、いつもの優しい顔に戻られる。でも、

「お前も、もう、帰った方がいい。俺はこれから、反逆者になるのだ。ここへも、もう来るな。俺のことは、忘れるんだ」

 そんな非情なお言葉を、そんな悲しい顔で言われたら、女の私は従うしかない。

 最後にもう一度だけ、ギルバルド様の温もりを。

 強く、強く、抱き締める。

 涙が引いたのを合図に、部屋から出ていこうとする私に、

「これを、持っていてくれないか。これは、あいつの物だから」

 ギルバルド様が手渡したのは、兄が落としていった羽根飾り。

 それが、私がギルバルド様に会った最後。それが、二人の戦士が引き裂かれた顛末。

 

「兄も、ギルバルド様の言うことが正しいとわかってはいるのです。それでも、自分の信じてきた戦士像、それを体現していたはずのギルバルド様がハイランドに屈した姿を、どうしても受け入れられなかった」

カノープス殿は、友情と信義の間で板挟みとなり、戦う理由を見つけられず、戦士であることを捨てたというわけか」

 騎士の誇りによって戦い続けてこられたランスロットにとって、戦士であることを捨てねばならなかった男の苦悩は計り知れない。

「ギルバルド殿。戦士としては、お優しすぎる。不義によって成り立つ平和の葛藤を、一身に背負われているのでしょう」

 戦うべき時を見送った後悔は、ヴォルザーク島へ引き籠っていたウォーレンを帝国打倒にまで突き動かした。民のためといえ、自ら剣を置いたギルバルドならば、その悔恨は如何ばかりか。

カノープス殿なら、ギルバルド殿を説得できるんじゃないかしら」

「ギルバルド様は、貴殿方に討たれる覚悟です。それでも、ギルバルド様をお救いくださいますか?」

 尋ねるユーリアに、ウェンディは当然の答えを返す。

「私達は、何も人殺しが目的で戦ってるわけじゃないわ」

 ウェンディの笑顔を見て、ユーリアは彼女等に託そうと決めた。世界で最も愛しい二人の命運を。

「この『火喰い鳥の羽根』は、ゼノビア王国魔獣軍団長就任の際、ギルバルド様がグラン王から下賜されたものであり、軍団随一の勇敢な戦士として、兄のカノープスが得た勲章。火喰い鳥の羽根は、二人の戦士の誇りを証明すると同時に、二人の信頼の証でもあるのです」

 ユーリアは、雄壮な見栄えの羽根飾りを取り出した。

「妹の私が言っても駄目でしたが、ゼノビア王国の威信を継ぐ貴殿方ならば、兄に戦士誇りを取り戻すことができるはず。この火喰い鳥の羽を見せれば、きっと貴殿方に協力してくれるでしょう。二人のことを、どうぞよろしくお願いします」

 ウェンディは、『火喰い鳥の羽根』を受け取る。

 この羽を、あるべき場所へ返さねばならない。

 私の信じる正義を掴むために。

「バハーワルプルへ!」

 ウェンディ達は、ネッソスの背に飛び乗った。

 

「お前達、また来たのか」

「貴方に見せる物がある」

 ウェンディは『火喰い鳥の羽根』を手渡した。

「これは…」

 火喰い鳥の羽根を持ったカノープスの脳裏に、若かりし頃の記憶が去来する。

 ゼノビア王国建国当初、シャロームは王家直轄領の一部という扱いだったが、王都ゼノビアに多くの領地を有する王家にとって、東端の飛び地に対する重要性は年々低くなっており、シャローム執政官の役職は、政争に敗れたの左遷先と化しつつあった。

 そうして派遣された執政官が統治に熱心なわけもなく、シャローム議会では、度々問題に対する対処の遅さが取り上げられる状況だった。

 王国建国から13年目の年、シャロームに1体のティアマットが現れた。

 大陸擾乱時、シャローム王国が滅亡したこの地には、巨人と魔獣が跋扈していたが、ロシュフォル王子らの手によってそれらが駆逐され、平穏が取り戻された。しかし、それらの生き残り、あるいは遠い地から魔獣達の臭いに引き寄せられてか、ドラゴンの上位種であるティアマットが、ゼノビア王国領となったシャロームに姿を現したのだ。

 中央から派遣されていたシャローム駐屯軍は僻地での任務にだらけきっており、歯が立たないことを見た執政官は、中央に応援要請を出すとペシャワールに引き籠った。

 その間にも、暴れ回るティアマットによって、城塞都市サジガバードや自由都市アナトリア自治都市バンヌなどには甚大な被害が出ており、見逃せないと立ち上がったのが、既に魔獣の扱いに長じていたギルバルドであり、その親友カノープスだった。

 ティアマットはギルバルド達によって討伐され、その功績によりギルバルドは、空席だったゼノビア王国魔獣軍団長に任命された。

 また、官吏による失政の負い目もあった王国は、「シャロームはシャロームの手で」を掲げるシャローム議会の希望を通す形で、シャローム人領主による自治を認める運びとなり、王国軍所属で、かつシャローム議会の信任も厚かったギルバルドが治めることになったのだ。

 軍属になるにあたり、ギルバルドはカノープスに告げた。自分は、身に余る大役を仰せつかることになる。今はお前の翼が羨ましい。出来ることなら飛び去ってしまいたい。

「馬鹿を言え。この翼は逃げ出すためじゃない。誰よりも早く、戦いに赴くためにあるんだ」

 そう。カノープスは宣言したのだ。

「お前が戦地に立たされたなら、真っ先に俺が駆け付ける。どんな敵が相手だろうと、俺は最後までお前と共に戦い続ける。この翼に懸けて誓おう。我、カノープス・ウォルフは、ギルバルド・オブライエンの翼となる。いついかなる時もその背中を支え、その足を阻む泥濘から救い出し、その行く手を進む力と成らん」

 どんなことがあっても、この男を傍で支え続けよう。だから、

「お前は堂々と構えていろ。どんな役目を負わされたとしても、大きすぎると言うことはない。ギルバルド・オブライエンは、天空のように大きな男だ」

 王国魔獣軍に入団したカノープスは、自ら立てた戦士の誓いに恥じぬよう奮迅し、軍団長の親友という立場をやっかむ者達も認めざるを得ない、魔獣軍団筆頭の戦士として火喰い鳥の羽根を授与されたのだ。

 俺が、伝説の鳥の羽根を付けるに相応しい戦士となれたのは、ギルバルドの力になりたいと戦士の誓いを立てたからだ。アイツがいなければ、戦士としての俺はいなかった。

 今だってそうだ。こんなところで燻って、世を疎んでいられるのは、アイツが帝国に降って戦を避けてくれたおかげだ。

 俺は、ギルバルドから生きる意味を与えられ、命をも救われたのだ。

「こんなところで、俺は何をしている」

 アイツは、今だって戦い続けている。

 誰よりシャロームの民を思っている男が、帝国の言いなりになって圧政に加担し、当の民達から蔑まれながら、それでもシャロームの民を守るために、己の心を殺し続けているのだ。

「翼になると、誓ったのに」

 アイツを、一人きりの戦場に放り出した。13年もの間、親友に孤独を強いてきたのだ。

 行かなければ。アイツの戦場へ。もう俺に、アイツを救い上げる資格がなかったとしても。

「さっきは、憎まれ口を叩いてすまなかった。自分が友を見捨てたことを、戦いから逃げたことを認めたくなかったんだ。頼む、俺を反乱軍に加えてくれ。俺は、もう一度ちゃんと、ギルバルドと向き合わなくちゃいけないんだ」

「思い出したのね。貴方が戦う理由を。それなら、貴方を拒む理由は何もない」

 火喰い鳥の羽根を付けたカノープス。その瞳には、確かに戦士の誇りが宿っていた。

 

f:id:boss01074:20200608205938j:image

「来るべき時が来たか」

 ペシャワール城の前で結集するウェンディ軍を見て、ギルバルドは静かに呟いた。

 この城まで迫る戦いぶりからして、反乱軍の強さは本物だろう。彼等ならあるいは、本当に帝国を倒すことも有り得るかもしれない。

 だが、まだ信じるには早い。反乱軍のリーダー、ウェンディと言ったか、まだうら若き乙女だと言う。

 彼女が本当に、このシャロームを任せるに値するか、最後は自分の身で確かめてみねばなるまい。

 戦闘態勢に入ったギルバルドは、ウェンディの到来を待ち受ける。

 果たして、ウェンディは自ら城内に乗り込んできた。好都合だ。

 と、ウェンディの隣に、見紛うはずのない顔があった。

「ギルバルド」

 かつての親友の名を呼ぶ、赤い髪の有翼人は、ギルバルドが最も信頼した男だった。

「翼は取り戻したようだな」

 ギルバルドは、カノープスの頭に王国魔獣軍筆頭戦士の証を見つけて、密かに喜んだ。これで、心置き無く…。

「なぜお前達は帝国に逆らう」

 ギルバルドは、ウェンディに向き直り、問う。

「帝国の支配は、正義に悖る」

 ウェンディは、物怖じすることなく言った。

「それはわかる。だが、俺はこのシャロームの平和を守り続けねばならん。お前達は、この地に戦を持ち込んででも、正義を貫こうと言うのか」

「無用な戦いは、私達も本意ではない。それでも、戦わなければ私達の明日を守れないなら、私は剣を取る」

「ギルバルド、もういい。お前はシャロームのために、帝国に身を売った。そのおかげで俺達は、平和に暮らしてこれた。全部お前のおかげだ。俺達は、お前を誇りに思う。だからもう、帝国に仕えるのは罷めるんだ」

 カノープスの切実な訴え。だが、今のギルバルドにはまだ届かない。

「俺は、帝国の手先として、これまでシャロームを守ってきたんだ。お前達は、俺の領内で、帝国に反乱を起こした。お前達が反乱軍なら、帝国軍の俺は戦わねばならない。それとも、お前達の正義とは、血を流す覚悟もない薄っぺらなものか!」

 ギルバルドが鞭を撓らせると、両脇のワイアームが唸り声を上げる。

「戦うしかないみたいよ、カノープス

「畜生ッ」

「さあ来い、理想を求める勇士達よ」

 覚悟を決めたウェンディの先制魔法。

 だがギルバルドは怯まない。構わず前に出て鞭を振るう。

f:id:boss01074:20200608210550j:image

「お前も覚悟を決めろ」

「くっ」

 間一髪で飛び退くカノープス

「帝国に抗するだけの力があれば、俺だって戦う。だが、帝国は強大だ。民に死んでくれということは、俺にはできない」

「恃みにするのは力じゃない。正義を願う、人の意志よ」

 ウェンディ隊が、ギルバルドに攻勢をかける。

「ぐっ、力が無ければ正義は語れない。どれだけ意志が固かろうが、これっぽっちの軍勢では、帝国に潰されるだけだぞ」

「それでも、暗闇で息を潜めながら死を待つより、たとえ危険でも私は、光に向かって歩いていきたい。だってそれが、生きるということだから」

「――ッ!」

 ウェンディの言葉にギルバルドが怯んだ刹那、カノープス棍棒がギルバルドの右肩を強かに打つ。

f:id:boss01074:20200608210625j:image

 ギルバルドはそのまま膝を着き、鞭を手放した。

「所詮、非道を見て見ぬ振りして得た仮初めの平和だ。いずれ貴殿等のように信念を持つ者が現れ、平和の名の下に押し隠した欺瞞が暴かれるとわかっていた。戦士を捨てたのは、愚かな過ちだったよ。帝国に与した罪、言い逃れする気はない。ただ、お願いだ。俺の命と引き換えに、シャロームの民を守ってくれないか」

 最期の頼みをするギルバルドの前に、カノープスが割って入る。

「待ってくれ。ギルバルドは、シャロームのために自分を犠牲にしたんだ。そんなギルバルドを、俺は止められなかった。ギルバルドの罪は、親友を見捨てた俺の罪なんだ。俺がどんな罰でも受ける。だから、ギルバルドのことはどうか許してやってくれ」

カノープス…」

 カノープスの必死の嘆願。それは、何より、ギルバルドの心に響いた。

「ここにいるのは、何よりもシャロームの平和を願った戦士よ。誰も、罰を受ける必要なんかないわ」

「俺を、許してくれるのか」

 13年間ギルバルドの顔に貼り付いていた苦渋が解けていく隣で、カノープスは早くも涙ぐんでいる。偏屈ジジイは、意外にも激情家だったらしい。

「有難う。救ってもらったこの命、どうかウェンディ殿のために使わせてもらえないだろうか」

 傍らのウォーレンを見る。ウォーレンはゆっくり頷いた。

「高潔な戦士の助勢は、願ってもないわ。是非、力を貸してちょうだい」

 信義への失望から、親友を見捨て、戦いに背を向けてきたカノープス

 民のため、敵を己の内に押し込めて、一人孤独な戦いを続けてきたギルバルド。

 翼を折った二人の戦士は、13年もの間、明けることのない冬を耐えてきた。

 そんな二人の凍てついた心は、東から吹いた若い風で氷解する。

 それはまだ、冬を知らないだけかも知れない。この世界を覆う暗闇に対抗するには、未熟故の理想かもしれない。

 しかし、二人にはそれで十分だった。なくした翼は、ずっとそこにあったのだから。翼の代わりになる強風は必要なく、明けない冬がないことを示してくれるだけで良かったのだ。

 一陣の春風に乗って、飛ぶことを思い出した戦士達は、まだあるはずの陽の光を求めて、今一度天空へと飛翔する。

 

キャラクター

f:id:boss01074:20200608205938j:image

ギルバルド

 同時期に唯一の有翼人カノープスが入り、敵から寝返ったキャラとしてもイベントの多いデボネアがいるため、同じビーストテイマークラスで加入するライアンと並んで、いまいちキャラの薄いギルバルドですが、シャローム領主という立場を強調することで、民のために帝国に膝を屈した戦士という、優しさと責任感のキャラクターとして彼を描きました。

王国魔獣軍団長

 また、元王国魔獣軍団長という肩書き。反対派の粛清などはちょっと似合わないところから、王国時代からシャローム領主であったろうという推測の下、彼が魔獣軍団長かつシャローム領主となった経緯を創作しました。王国時代のシャローム統治形態は一切不明なので、時代的な違和感などは大目に見てください。

 ティアマットの討伐は、セガサターン版隠しステージ、サージェム島のボスから引用しました。ドラゴン退治の英雄として、彼は王国に召し抱えられたという設定です。彼の高潔で実直な人柄から、王国軍に入ってすぐ中央からも信頼を得たんでしょう。

内なる戦い

 反乱軍に討たれることを望んでいたギルバルドが帝国軍として立ちはだかる理由付けに、本編ではプレイヤーの実力を見極めようとしていると設定されています。その主人公を見定める設定の反映のため、唯一の接点となる戦闘中にドラマを作る必要があったんですが、喋りすぎですね。上条当麻か。

 戦いを捨てたカノープスが戦いに戻る理由を作るために、王国滅亡以来ギルバルドは、己を殺すための戦いを続けてきたということにしています。氷のように厳しくなったという彼の評判と、ウェンディの東風のイメージを上手く利用して、物語が作れたかな。この辺を処理するにも、25年ではなく13年程度が適当ではないでしょうか。

 彼の異名は「天空のギルバルド」なんですが、彼自身は飛べないんですよね。カノープスと逆じゃない?“天空のカノープス”を従える“風使いギルバルド”の方がしっくりくる。本稿では、カノープスがギルバルドを称えた言葉が元になっています。責任感の強い彼は、自分では決して過ちを許すことができなかったのですが、自分のために命を投げ出そうとする親友の姿に、もう一度誇り高い戦士へ返り咲くことができます。

f:id:boss01074:20200608205443j:image

カノープス

 低空運搬に加えて、リーダー時の高LUK、高ALIによって非常に使い勝手の良いキャラクターなので、僕自身も非常に気に入っております。ただ登場時の偏屈ぶりがいやらしいので、そこからの反転で熱血漢、見た目に即した猛進キャラにしてあります。

翼の誓い

 カノープスが立ち上がるシーンは本編でもなかなか感動的なのですが、“戦士の誇りがギルバルドを許せない”だったのに、“戦士の誇りを取り戻してギルバルドを救う”じゃちょっとわかりづらい気がしたので、“翼の誓い”を創作しました。“誇りを捨ててカノープスを守った”ギルバルドに対し、カノープスが“誇りを回復してギルバルドを救った”んじゃバランスが悪い。ギルバルドに奪われたと思ってた戦士の誇りを、自分に持たせてくれたのがそもそもギルバルドだったとして、戦士の誇りを取り戻すことが、ギルバルドを救うことに直接繋がるようにしています。

 それに啖呵切った割には、本編じゃ何かしてくれるわけじゃないんですよね。戦いが終わった後に助命嘆願に来るんですが、結局許すかどうか決めるのはプレイヤーなんで、カノープス発起とギルバルドの生死は、フラグではあるけど決定要因ではない。そうした本編のゲームとしてのバランス感覚は、物語としては弱いと感じたので、ぺシャワール攻略に参加させ、戦闘前に一応説得を試みさせました。最後の攻撃がカノープス棍棒でなきゃ、ギルバルドは死んでたかも。

問答

 問答は全部やらなくても良かったのですが、せっかく固有キャラが3人いたので、それぞれに合う形で膨らませました。

 名誉に関しては、後々出てくるキャラクターで本稿における名誉を代弁していこうと思っています。本編の、自由主義の否定が階級社会の肯定に繋がる論理は個人的にちょっとわかりづらかったので、間に“欲望の奴隷”と“他者の欲望を欲望する”の観念を挿入して、平和のためには秩序が必要というギルバルドの選択に絡む形に仕立てました。正義の項は長い上に、自家撞着っぽくなってしまいましたが、ウェンディのキャラクターが固まったので個人的には満足です。これが彼女の戦う理由だったんですね。ギルバルド戦でも回収されたし、この先も軸になってきそうなので、グッジョブ、カノープス

 反乱軍をdisってる理由は、戦士を捨てた自分を肯定するためと、ギルバルドを殺されたくないという感情の綯い交ぜではないかと解釈しました。火喰い鳥の羽根一発で心変わりするので、彼の中でも整理がついていないのだと思います。見た目は若いですが、本稿でも50近い設定なので、ジジイですね。ウォーレンは、ネットスラングくらい知ってるので問題ないです。

f:id:boss01074:20200608205514j:image

ユーリア

 歌姫設定を反映させようとしたんですが、なんか半分惚気入ってて鬱陶しいですね。でも、ユーリアは僕の中で“永遠の妹”キャラなんで、このくらいぽわーっとしててちょうどいいんです。アーティストだし。40越えてますけど。

王国魔獣軍の証

 ユーリアは、二人を一緒に救ってくれ(厳密には、カノープスがギルバルドを救う手助けをしろ)、と言っているので、彼女がくれる「火喰い鳥の羽根」は二人の絆の象徴であり、二人が縒りを戻すことに繋がるアイテムだと思われます。

 火喰い鳥の羽根は、二本あったのではなく、王国魔獣軍のエースが着ける勲章としました。グラン王が元々、王国魔獣軍そのものに対して授与した火喰い鳥の羽根を、代表してギルバルドが受け取り、名実共にエースであるカノープスが相応しいとして、ギルバルドからカノープスに贈られたという図式です。これなら、グラン王が王国魔獣軍に与えた栄誉として、ギルバルドとカノープスに贈られたとも解釈できるし、ギルバルドがカノープスを信頼し、カノープスがギルバルドに応えた証とも解釈できるのではないでしょうか。

火喰い鳥の羽根の持つ役割

 その火喰い鳥の羽根を捨てるのは、カノープスが信頼に応えるのを止めたということ。なぜ止めたかということで、ギルバルドがカノープスにとって憧れだったというニュアンスを持たせました。ギルバルドに相応しい男にと頑張ってきたのに、当のギルバルドが誇りを捨てたため、自分の戦いも無駄だったとやさぐれるわけです。

 なので、カノープスが火喰い鳥の羽根を取り戻すにあたり、捨ててしまった羽根飾りをギルバルドが拾い、カノープスに見限られた自分には相応しくないとしてユーリアに託した、という手続きを踏ませました。ギルバルドから贈られたものでありながら、今はカノープス自身の誇りとして火喰い鳥の羽根を着け、その上で尚、真っ先にギルバルドの元へ駆け付けるという意図です。

 それはそうと、火喰い鳥の羽根見ただけで戦士の誇りが取り戻せるんなら、なんでユーリア本人がもっと早く見せなかったんでしょうか。まあ本稿のユーリアなら、カノープスがまだカッカしてる状態の時に、「なんでギルバルド様のお気持ちをもっと考えてあげないの!」なんて言いながら、火喰い鳥の羽根突き出したりなんかして。まさにその戦士の誇りが否定されてこっちは頭キてんのに、つーかそれがここにあるってことはお前アイツん家行ってたな、こっちが男同士の話してる時に、「女のお前が云々~」みたいに突っ返してる可能性。大体こんな感じじゃないかな。

リプレイへの反映

ラワピンジの処理

 ギルバルドは戦いを避けたがっており、反乱軍に討たれるのも已む無しと考えていたことから、ウェンディ軍のラワピンジ接収を黙認したということにしました。

『ムーンローズ』回収

 本作には幾種類も都市が存在するのですが、それらが具体的にはどういう形態なのかよくわからなかったりするんですよね。魔法都市は、魔術師が領主を務める都市と解釈しました。本稿で言えば、ウォーレンがいたヴォルザーク島のミニチュア版といった形でしょうか。

 『ムーンローズ』は、他の換金アイテムに比べ、売り方が面倒臭いんですが、せっかくなので頂いておきましょう。

イベント消化

 今後も、基本的には死神部隊を用いた速攻でいきたいと思いますが、今回のように、攻略中にイベントをこなす必要がある場合、情報収集と称して部隊を散開させて、消化していきたいと思います。

 今回は特に、敵が元ゼノビア王国魔獣軍団長、天空のギルバルドという大物なので、直接攻撃に出ない説得力がありました。

燃える水

f:id:boss01074:20200608211129j:image

 “燃える水”は、どうやら石油のことらしく、産業革命前の本作では純粋な燃料として、敵にぶっかけて火を点ける使い方をしていたようです。

 ただ燃える水をめぐる争いに関しては、詳細が一切不明なので、創作しました。カノープスが“遠い昔”と言っていることから、寿命の長い有翼人にとってはせいぜい一世代前のことにすぎない大陸擾乱期より前の出来事だろうと推測して、英雄伝説の一つではないかと。単なる資源紛争では軽い気がしたので(そちらの方が製作陣の狙いかもしれませんが)、“プロメテウスの火”を参考に、功罪両側面を併せ持つ形にしました。本稿のカノープスは、守護者一族の子孫とかなんじゃないですかね。

ランスロットの過去

 続編の『タクティクスオウガ』で、ランスロットは、潜伏中に妻を亡くしていたことが明らかになります。

 戦士であることを辞めそうになったというのは、おそらくその時期のことでしょう。

 

ステージ攻略

軍団編成

 作戦に使用するのは4部隊、ウェンディ[1]隊/シルフィード[2]隊/レイノルズ隊[3]/エーニャ隊[4]ですが、最後にカノープス隊(ブラッキィ[5]隊)を編成します。

f:id:boss01074:20200608211245j:image

 最初は、ウェンディ[1]隊/シルフィード[2]隊にグリフォンを入れ、残りは人間兵を詰めておきます。進軍シフトです。

 南下が終了したところで、部隊を編成し直します。シルフィード[2]隊のLv.が上がっているので、レイノルズ[3]隊とエーニャ[4]隊へ分配し、逆にLv.の低いキャラを補充します。ここで、シルフィード[2]隊のグリフォンを、エーニャ[4]隊へ移しておきます。

f:id:boss01074:20200608211328j:imagef:id:boss01074:20200608211342j:image
f:id:boss01074:20200608211725j:imagef:id:boss01074:20200608211740j:image

 以降はこの防衛シフトで、シルフィード[2]隊が東街道、レイノルズ[3]隊が西街道、エーニャ[4]隊が浮島で北面の防衛を担当し、ウェンディ[1]隊で拠点解放を行っていきます。

 カノープスが加入したら、ホークマン達を外してブラッキィ(リーダー資格有)ともう一人を入れ、ブラッキィ[5]隊を編成します。

f:id:boss01074:20200608211542j:imagef:id:boss01074:20200608211558j:image

 ウェンディ[1]隊とブラッキィ[5]隊を合流させ、グリフォンの代わりにカノープスと人間兵を入れた五人編成のウェンディ[1]隊が、ぺシャワール攻略部隊です。

f:id:boss01074:20200608211635j:imagef:id:boss01074:20200608211650j:image

ステージ攻略

 リプレイでは、初めから4部隊で行軍したように書きましたが、南下作戦では時間節約のため、大空ユニットのみ使用します。

 シルフィード隊で、西街道を北上してくる帝国軍を撃退しながら南進。最短距離を行く隊なので、1,2回負けても突破さえされなければ問題ありません。買い込んだキュアポーションや、溜まってるタロットを惜しみ無く使っていきます。

f:id:boss01074:20200608211858j:image

 黒線がシルフィード隊、白線がウェンディ隊の進路。

 橋の手前を塞いだら、そこで駐留。エリーゼがLv.4になったので、クレリックに変えておきました。

f:id:boss01074:20200608211919j:imagef:id:boss01074:20200608211931j:image

 一方で、ウェンディ隊は東街道を南下し、レニナカンを解放。シルフィード隊と合流したところで、オールサモンズを使って地上部隊を召集。この時、上記の防衛シフトに組み直します。

 ここからはイベント消化です。リプレイとは若干異なります。

f:id:boss01074:20200608212026j:image

 ウェンディ隊/シルフィード隊/レイノルズ隊/エーニャ隊をそれぞれ、白/黒/青/赤の線で表しています。

 ウェンディ隊をバハーワルプルへ、シルフィード隊をレニナカンへ向かわせ、エーニャ隊は浮島の財宝を回収し、駐留させます。

 バハーワルプルを解放したら、ウェンディ隊をチャンジガルへ回します。チャンジガル解放まで、西街道を前線で防衛するレイノルズ隊はかなり激戦となるので、これもアイテム、タロットを多用して耐えます。

 チャンジガル解放と同時に、レイノルズ隊はチャンジガルまで後退。ウェンディ隊は再びバハーワルプルへ行き、カノープスの罵りを受けます。

 その後、チャンジガル待機中のレイノルズ隊を足踏みさせてユーリアの情報を聞き、レニナカンのシルフィード隊を足踏みさせて西方の隠し教会の存在を知ったら、ウェンディ隊を西の教会へ向かわせて「火喰い鳥の羽根」を入手します。

f:id:boss01074:20200608213250j:image

 入れ代わりに、浮島に駐留中のエーニャ隊を教会へ向かわせつつ、ウェンディ隊はバハーワルプルへ取って返し、カノープスを登用。これでイベントは完了です。

 いよいよぺシャワールを攻略します。レイノルズ隊で前線を押し上げながら、ウェンディ隊、ブラッキィ隊を進軍させます。

f:id:boss01074:20200608214131j:image

 ブラッキィ隊は紫線です。

 レイノルズ隊の背後で、ウェンディ隊とブラッキィ隊を合流させ、カノープスを加えたウェンディ隊で、ぺシャワール城を攻略しました。

f:id:boss01074:20200608211635j:imagef:id:boss01074:20200608211650j:image

プレイ後記

戦況報告

 今までボス戦しかしてこなかったので、ようやくのRTSバトルです。

 特に火力が出ない序盤で、今回のように包囲を維持する必要がある攻略の場合、敵ユニットのウィッチが大変鬱陶しい。本作はキャラの行動回数が決まってるので、全体にスタンをかけるウィッチがいると、敵味方体力減らないまま戦闘終了となり、進行ルートに残存し続けるんですよね。

 ウェンディ隊の進軍が始まった攻略ターンでは、障害にならぬようレイノルズ隊に追撃させる必要がありました。

 他には、逸らすと本拠地まで抜かれるグリフォンや、物理耐性のえげつないニンジャなど、シルフィード隊、レイノルズ隊はかなり苦戦を強いられました。

 グリフォンは、タロットのムーンによって、戦闘に負けてもリーダーを倒すようにしました。

 ニンジャは、タロットのラヴァーズで被ダメを減らす、あるいは攻撃系タロットでゴリ押すことで、なんとか拠点を防衛しています。

飛び回るウェンディ隊

 攻略はもう少し効率良く行うこともできるのですが、拘りとして会話イベントをウェンディにやらせたいというのと、拠点解放をALIの高い隊にやらせたいというので、ウェンディ隊が東奔西走しています。

名前

 エーニャは本名エンヤなのですが、エンヤだとエンヤでしかないので(そっから取ったのかも)、エーニャと呼んで欲しいと言っていました。

f:id:boss01074:20200608215059j:image

マンゴーの話

 シャローム王国の詳細については、次回多少補足したいと思います。

 五王国による統治の前、長い戦乱の世が続いていたのは本編通りですが、大陸擾乱という語は本稿の創作です。

 上記の事柄を含め、長すぎたので次回に回した、クリア後のマンゴーの話を聞くイベントで扱いたいと思います。

 

 予想通り、半端ない長さになってしまいましたが、1部の山場と言っていいシナリオなので、どうかご勘弁ください。なにしろ、シャローム蜂起編なので。

 次回以降、メインキャラを使って多少話を膨らましたりはすると思いますが、さすがにこれほど長くはならないはずなので、よろしければ、お付き合いください。

伝説のオウガバトル

伝説のオウガバトル

  • 発売日: 1993/03/12
  • メディア: Video Game